『なつかしの家電コレクション〜松下電器歴史館編〜』順を追ってモデルを見て行きましょう。

先ずは後に『三種の神器』と呼ばれる事になる家電の中でも、その代表に挙げられる白黒テレビです。17K-531と呼ばれるこの白黒テレビは最初期の国産テレビですが、完全に純国産ではなくブラウン管はアメリカ製を使用し、それ故に非常に高価な物となり、大学卒の初任給が7千円前後の当時に29万円もした、一般庶民にとっては高嶺の花でした。

発売された翌年の1953年から日本で本格的にテレビ放送が開始、徐々にテレビは普及して行きましたが、まだまだ一般家庭に浸透するには時間が掛かる事になります。その為、公衆でテレビを観る事が出来る街頭テレビや電器店の店頭に人々は群がり、またテレビを買ったと噂になれば、その家庭に町内中が集まり鑑賞すると言う、この時期ならではの歴史的なエピソードも伝えられています。今年86歳になる私の母親も、近所の電器店の店頭でテレビを観る為に近隣の人々が殺到し、警察官が出て来て交通整理をしていて驚いたと話していました。

モデルはその素晴らしい再現度に驚かされます。ブラウン管の鋭い程の質感や、上部及び側部の木目調の雰囲気、初期のテレビ独特の華奢なスイッチ類、いかにも破れそうで弱々しい布製のスピーカーカバーなど、実物そのものが縮小されている様です。また背面のボードカバーと機器調整用の開きもちゃんと再現しています。無いのはコンセントぐらいで、出来れば別のパーツとして付属されておれば、なお良かったと思います。

家電をコレクションする方は稀に居られますが、現実的にほぼ不可能なので、この様なミニチュアならそれも可能となり、家電の歴史が気になる向きには貴重な存在のシリーズと言えましょう。

2007年11月発売 発売当時価格 472円(ブラインド販売 税込み価格)