懐かしの商用車コレクションでは定番車種となるミゼットMP、今回は造花店仕様となって登場して来ました。昭和の下町を代表する商用車の為、当シリーズでは最多出場となる5回目の登板で、いかに軽3輪トラックが庶民の生活と密接に関連していた事を改めて感じます。

今回の造花店仕様は、これまでに発売されたカンパニーカラーの各仕様と違い、基本的にノーマルカラーの所謂『ミゼット色』でモデル化されています。私の中でも下町ではカンパニーカラーよりも、ノーマルカラーの方が多くの活躍していた記憶があり、シリーズ初のノーマルカラーの登場は遅過ぎるぐらいです。

モデルは基本的に従来からのカラーバリエーションであり、特にディテールの追加や年式による仕様変更はありません。しかし今回は積荷の花環に視線が集まります。私は『造花店仕様』の予告を見て、模型として本物の花と造花を作り分けるのか、疑問に感じていたのですが、積荷が花環と知り成る程と頷いてしまいました。

元々花環自体が模型の花の様な物なので、現代の技術なら縮小してもリアルの物が出来、スケール的にも、小さなミゼットMPに積んだ時に、ユーモラスなモデルとして映えます。花環本体においては、『のし』『祝開店』の字体『~与利』『~賛江』の文字からお祝いの様子が伝わって来る様です。

しかし花環本体の部分を見た時に、平面に表現されていた為『ここはやはりこの程度かな』と思っていたところ、これは回送時に被せるビニールを表現しているとの事で、クルマを主体とするシリーズの本道は忘れておらず、流石の表現方法と改めて感心した次第です。また荷台の矢倉も妙にリアルで、積荷に合わせた道具から手作りの工夫が伝わって来ます。

このモデルだけを単品で飾っておいても楽しい、当シリーズのミゼットMPとしては、最高の出来と感じる『お祝い』モデルです。

2022年11月発売 発売価格 2.299円(税込価格)