鉄道模型の項は少し間が開きましたが、ハセガワ・モデモの路面電車、当コレクションに残る最後の1両が、かつて東京急行電鉄玉川線を走ったデハ200形のモデルです。『ペコちゃん』とか『いもむし』と呼ばれていた名物電車で、当時を知る鉄道ファン・・・いや沿線住民をはじめ、東京の人々なら知らない者は居なかった、それだけインパクトの強い電車でした。
登場したのは1955年。『もはや戦後ではない』と言いながらも、実際の日本は戦後をまだまだ引きずっていた頃の話で、そんな世の中に現れた斬新な電車に、庶民は驚きを隠せませんでした。何と言ってもモノコック構造の低床式連接車体は新しく、個性的なスタイルは人目を引きました。また当時の路面電車と言えば、重苦しい吊り掛け駆動のモーター音を響かせて必死で走っていたところに、カルダン駆動の軽快な音を奏でた、乗り心地の良い新しいデハ200形は、たちまち時の電車になりました。その人気の程は、デハ200形をわざわざ待って乗車するお客さんも居たぐらいで、特に子供達からの人気は相当なものでした。
しかし先進の技術に運行する側はついて行けなかったのも事実で、制御方式はデハ200形独自のものであり、運転する側としては扱い難い車両だった様で、特に自動加速装置はクルマの洪水の様な路面区間では、役に立たなかったとも聞きます。また保守面でも難があった為、1969年の玉川線廃止と共に運命を共にしました。玉川線の残党である世田谷線にも引き継がれず、たった14年の現役生涯でした。
なお現存車は川崎にある『電車とバスの博物館』に204号が静態保存されています。
さてモデルの方ですが、モデモNTシリーズの100号記念モデルとして発売。モデモの製品の中ではピカ一の存在で、非常に良く出来たモデルです。少し腰が高い事以外はプロポーションも良好で、そこは走らせて楽しむNゲージとして見るべき部分と言えます。その走行性能も悪くはなく、先日アップした京阪びわこ号の様な不安定さは全くありません。
しかし非常に残念な事が、この個体に関して発生してしまいました。今回ブログにアップしようと、コレクションケースから取り出すと、何とボディが膨れ上がっているではありませんか。よく見るとモーターのウエイト兼ハウジングのダイキャストが膨張破壊し、それが原因でボディを押し広げていました。
早速メーカーであるハセガワさんに連絡を入れると、修理対応は可能との事。翌日にメーカー発送し、約2週間で修理完了がして帰って来ました。その為、冒頭に述べた通り少し間が開いてアップする事になったのですが、その時のハセガワさんの対応が、最初から非常に丁寧だった事、また購入後10年程経過しているにも関わらず、無償で修理を実施してくれた事など、アフターサービスに関しては最高だったと付記し、ハセガワさんに感謝する次第です。
2010年発売 発売当時価格 10.800円(税別価格)