
トミックスの建物グループから、角店セットの初期バージョンで、今となってはある意味貴重なバージョンとして、隠れた人気の物件となっている様です。
当時のトミーは、トミーナインスケールの時代から、Nスケールのレイアウト用品に熱心に取り組んで来ましたが、殆んどがバックマン製の製品で、そのままでは日本の風景には使えない、欧米型のストラクチャーでした。しかしトミックスブランドになってからは、純日本タイプのストラクチャーのリリースが続々と始まりました。それはローカル駅舎とホーム、信号所、わらぷき農家、商店セット等、誰もが待ち望んでいた、日本の風景を手軽に再現する事が可能な、Nゲージャー待望のストラクチャーでした。続けて都会風景を演出する橋上駅舎や都会型プラットホーム、商業ビルと、止まる事を知らない様にリリースが続きました。
しかしメーカーのカラーが表立った、画一化された雰囲気で、どこか冷たさが残る、いかにも機械で設計されたみたいな建物といった仕上がりで、別の角度から見ると玩具をそのまま少し成長させたみたいな製品群に、私は感じてしまい、トミックスの建物グループを、あまり手にする事はありませんでした。それでも商店セットは何軒かを手にし、荒改造によりレイアウト上に配置しましが、グリーンマックス製のキットに比べると、どうしても劣る面が多く、スケールも若干小さい為、必要以上に増築はせずに終わりました。
その様に私は感じてしまったトミックスの建物グループでしたが、ちょっとこれは手にしておきたいと、直感的に思った物件が何軒かあり、そのうちの1つが角店セットでした。
この角店セット、仕様を変更して現在も発売中なのですが、看板の内容がこの初期のタイプと違っており、今では手に入り難い貴重な物件です。で、何が貴重なのかと言えば、実在する洋菓子の不二家の看板とステッカーがセットされているからです。他のバリエーションにするステッカーは、フリーの果物店、中華料理店、酒屋、喫茶店とあるのですが、実在した店は不二家のみです。特に使用許可のクレジットが箱にもありません。当時はうるさく言われなかったのかも知れませんが、何れにせよ現在発売されている物には、不二家のステッカーは入っておらず、この製品の長い歴史の中で、何か大人の事情が発生したのかも知れません。
この未使用の個体は20年程前に購入した物件で、当時としても少し探して手にしたと記憶しています。普通に買えば不二家をレイアウト上に再現出来ると思い、量販店に出向きましたが既に初期バージョンは市場に無く、数件模型店を回った末にやっと1つ発見しました。しかし未だにレイアウトの改修に着手出来ない状態の為、以来放置状態で今日に至ります。
当レイアウトの街並みに不可欠な建物なのですが、これで1/150スケールのペコちゃんの人形があれば完璧なので、何とか早くレイアウトの改修に着手したいと思っています。
1981年発売 発売当時価格 1.000円(現在も仕様を変更して発売中)