元祖ダイヤペットのショーファードリブン。センチュリーからプレジデントと続いた止めは、最高と言える昭和の御料車、ニッサン・プリンス ロイヤルを挙げずにはいられません。

ニッサン・プリンス ロイヤルは1966年に国産車初の御料車として登場、万が一でも起きてはならない故障に対しては、念には念を入れて様々な重装備を施し万全の策が取られ、完璧な状態を常にキープする事が当たり前と言う、高い完成度を誇った究極の日本車と言えました。

ロイヤルを設計製作したのはプリンス自動車で、それは皇室との縁が深く、当時の皇太子様(現・明仁上皇様)の愛車として、プリンスセダンの時代から納入していた歴史があり、宮内庁もプリンス自動車に大きな信頼を得ていた事も手伝い、ロイヤルの誕生に繋がったと思われます。しかし実際の発表時にはプリンス自動車は日産自動車に吸収合併され、車名がニッサン・プリンス ロイヤルとされました。

ロイヤルは7台が製作され、宮内庁と外務省に納入、昭和から平成に時代が変わっても続けて使用されました。なお1台は寝台車(実質的には霊柩車)に改造され、昭和天皇の『大喪の礼』の時に用いられました。

元祖ダイヤペットのロイヤルは1975年に発売。当時のミニカー製作の技を結集したモデルとして、発売当時から話題になりました。元祖ダイヤペットのスタンダードスケールは1/40でしたが、実車が全長6mを越える大型車の為、1/47スケールとなりました。ボディやドアは無論、全てのパーツの金型を新規で製作、担当した協力工場の気合いが感じられます。仕上がりは今の目で見ると、やはり元祖ダイヤペットの仕上がりで、あからさまに1970年代のミニカーなのですが、当時としては素晴らしい仕上がりと感じたに違いありません。重厚なプロポーションは良好で、フロントフード、運転席及び助手席のドア、トランクが開閉可能です。

この個体は後期モデルで、ドアの菊の御紋が立体的に彫刻されています。初期モデルはシール貼りだったゆえに安っぽく見えた為、改良されたと思われます。

ボディカラーは黒以外に考えられないのですが、茶メタや限定品で銀等もあり、これはセンチュリーやプレジデントの赤よりも、存在する事自体が許されないカラーだと私は思います。
更に金メッキのケース付きの仕様も発売され、これはミニカーとしてではなく、皇室コレクションとして扱うべきモデルと言えます。価格は元祖ダイヤペットとしては最高額の、18000円で発売されました。

余談ですが、トミカでもロイヤルのモデル化が検討された事があり、木型まで作られた様ですが、残念ながら企画倒れになって幻となりました。しかし近年になってTLVから登場、トミカファミリーとして、幻の名を返上しました。

後継のトヨタセンチュリーロイヤルが登場して既に久しいのですが、ロイヤルは1台が現在も保存されており、後世に昭和を伝えられて行く事になっています。

1975年8月発売 発売当時価格 900円