
1980年にしなのマイクロがリリースした『単行電車シリーズ』は、当時としては異例の国鉄事業用電車をモデル化した、意表をついたシリーズでした。特に牽引電車はこの時にNゲージとして初めてモデル化されたもので、まさかのモデル化に驚いたものでした。
最初に製品化されたのは、当時最新鋭の牽引車として話題となっていたクモヤ143形と、クモヤ143形と同等のボディを与え、従来のクモヤ90形をマイナーチェンジした、クモヤ90形100番台を発売しました。エッチングによるボディとしては、正にうってつけの題材で『実用以外の目的は一切考えていません』と言っている様な、楽しさも色気も無いスタイルを忠実に再現しています。但しそれは未塗装の状態の話で、塗装仕上げは当時のレベルとしても塗り分けラインの曖昧さは見ての通りです。
パンタグラフや床下機器も汎用パーツを利用、動力ニユットも未塗装で、ボディ内を目いっぱい陣取っています。これは当時の金属製ボディを持つ電車のスタンダードの仕上がりで、プラ製ボディよりも少々ヘビーになった編成を、余裕を持って牽引する為の対策もあったと言われ、停止時にスマートに止まれる様に、フライホイールも装備されていました。
当鉄道は今でも編成になっていない車両や、動力を除いた編成を牽引し、マンネリ化しやすい運転に、変化を与えながら楽しんでいます。
1980年発売 発売当時価格 4.800円