乗用車の項、今はシリーズが廃止になった、トミカリミテッド(以下TL)の初期に発売されたモデルを少し続けたいと思います。

まずは品番1号となったスカイライン2000GT-R、通称ケンメリのGT-Rです。実車は歴代GT-Rの中でも、生産台数が極端に少ない車型として有名な事をはじめ、歴史や性能については、ここをご覧なさって下さる皆様の方が詳しいかと思い、私が多く語るまでも無いので割愛し、モデルのインプレッションを中心に、ちょっと私的な視線からTLのケンメリGT-Rを見て行きたいと思います。

初期のTLはトミカが一番出来の良かった、1970年代から1980年代前半のモデルをリメイクした上、グレードアップして仕上げたモデルが殆んどを占めていました。このケンメリGT-Rもしかり、1974年に発売された原型を使用し、TL化されて生まれたモデルです。

各部の色入れだけでグレードアップされた灯火類やエンブレムは、いかに原型が素晴らしいかを証明しており、更にAピラーの細さ等は現代トミカでは見られない繊細な部分です。

このクルマの一大特徴であるオーバーフェンダーやリアウイング、それにGT-R専用のフロントグリル等も、出来の良さに入れたいところですが、私にとってはこれらの装備が残念に見えて仕方ありません。と、言うのもこのモデルは元々GT-Xとして、レギュラーのトミカで発売されていた物で、その当時はもっとシルエットが美しく、ケンメリの流麗なプロポーションが実直に再現されていました。また牽引フックも装着されており、キャンピングトレーラーやボートトレーラー等を牽いて遊ぶ事が可能で、トミカらしい遊びも楽しめました。

それがレギュラー品で絶版になった後、1982年頃からオーバーフェンダーとリアウイングが追加されたGT-R風モデルが、セット物や特注品で現れました。しかしフロントグリルがGT-Xのままであったりして、中途半端に改造されたGT-Rもどきの様な感は否めず、何とも残念なモデルになってしまいました。

そしてこのTLでやっとと言うか、何とか正調ケンメリGT-Rらしいモデルにたどり着き、これでヨシと言いたいところですが、最近になってTLVNやトミカプレミアムで、この頃に発売されたトミカと同車種が新規で発表されており、今更ながらの話ですが、トミカのGT-Xはそのまま残しおき、TLVNかトミカプレミアムにて、ケンメリGT-Rを出して欲しかったところです。金型改造の時期と大きな時間の差があるので、仕方ないと言えばそれ迄ですが、トミカとしてGT-Xが永遠に再生産が出来なくなってしまった事実は、残念無念と言わざるを言えません。

結果として、このTLのケンメリGT-Rの出来が良い事がせめてもの救いで、当時のトミカは現代でも通用するディテールを有する、芸術的な原型だったと再認識している次第です。

2001年4月発売 発売当時価格 700円(税別価格)