前回の神戸ポートピア ' 81から2年後、今度は大阪で大阪築城400年祭~大阪城博覧会が開催され、それに合わせて大阪市交通局(現・大阪シティバス)も2階建てバスを導入し、大阪駅から大阪城の特別路線バスとして活躍を始めました。

この2階建てバスを導入するにあたり、大阪市交通局は、当初気乗りしなかった様ですが、大阪城博覧会開催の1983年になって、いきなり導入する話が決まったらしく、いかにもお役所の決定事項といった、何かしらの節があったものと、想像に難しくありません。また車種の設定についても紆余曲折あった様で、結局室内の広さから、ドレクメーラーE440に決まったとの事です。

この2階建てバスは『にじ号』と名付けられ、大阪城博覧会の間は会場への足として大人気で、博覧会よりも人気があるのではないかと思うぐらい、乗り場は毎日長蛇の列だったと記憶しています。

大阪城博覧会終了後は、定期観光バスとして活躍、後継車の日野グランビューに交代する1994年まで、大阪市内を走り続けました。

さてトミカですが、広告や案内の無いオリジナルのスタイルでモデル化、どちらかと言うと後の定期観光バスとなった姿に近いものです。
ミニカーとして見ると、シルバーのボディに虹のステッカーを貼っただけの、至極単純なモデルとなっています。またパッケージはボックスではなく、専用のブリスターパックのみです。

このモデルの一番のミスと言うか大きな妥協点は、車種が合致していない事で、ドレクメーラーではなくネオプランとなっています。トミカにはネオプランしか無かったので、これだけはどうしようもありません。先に述べた実車の車種選定で、最初にノミネートから外れたのが、車内の狭さからネオプランだったと言う事なので、何とも皮肉な話ではあります。

当時を知る関西人なら、誰もの心に残っている神戸ポートピア '81と違い、もう思い出す大阪市民も少ない大阪築城400年祭ですが、後にこの2階建てバスが活躍していた定期観光バスも無く、既に失われた大阪市の残像の様で、何となくセンチな気分になってしまう、大阪市民のコレクターにとっては、郷愁に満ちたミニカーです。

1983年10月発売 発売当時価格320円