私の鉄道模型趣味史上で、製品化を熱望するベスト3にあった列車が遂に現れました。

1980年11月、我町に初めて通った大阪市営地下鉄が谷町線で、歓迎をもって迎えました。

当時私は中学2年、鉄道趣味も軌道に乗った時期で、この谷町線延伸と同時に廃線となった

南海平野線の撮影と、それに加えて阪神高速高速松原線の開通で、より遠方へドライブに

連れて行ってもらえた事など、週末ごとにいずれかの趣味で、走り回っていた時期でした。

開通時に多く走っていたのがこの50系車両で、ステンレスやアルミの30系もありましたが、

こちらの方によく乗車した思い出があり、元々他の線から転属して来た車両の寄せ集めで、

旧型なイメージは拭い切れない、何だか不器用な雰囲気が、たまらず好きな車両でした。

特に中間に挟まった運転席付近は私のお気に入りの場所で、最初の頃は運転室がそのまま

残っていたのですが、そのうちに中間車のモーターと運転席が撤去され、運転席跡はただの

『個室』の様になり、ますます気に入り、座席が空いていても、その『個室』に入っていました。

外観上も、撤去した運転席側のヘッドライトやテールライトの跡を、鉄板で塞いだ様子を見て

『ライト埋め』と称して、実車が無くなった今でも、同様の改造を見ると言っていたりします。

 

50系は3扉の為、4扉の30系と2種類の乗車位置表示があり、次に来る車両の掛けで、

特に30系用の最前列に、50系は届かないので、ボーッと並んでいたら焦ったものでした。

私の学生時代、社会人1年生になってから後も、この50系との付き合いは続き、新型車が

多くなっても、馴染みのあるスタイルは、長年の大阪市営地下鉄の顔とも言えました。

そんな楽しい思い出のある50系も、冷房改造出来ない等の理由で、1994年に谷町線から全車消えてしまい、私の青春時代の幻影の車両が、また一つ走り去ってしまいました。

 

当時、大阪市営地下鉄のモデルは地方的な偏りから、製品化として望める話ではなく、

高校2年生の時に千日前線の100形(旧1100形)4両編成を、キット改造で自作しました。

今のレベルで見ると全くの駄作ですが、改造による私の第1号作として現在も保存中です。

そして谷町線の50系や御堂筋線の30系も、キットを改造して製作する企画を練りましたが、

特に50系は100形と同じ車体の200形が中間に入るタイプ(正にこの製品です)で計画。

図面まで引いて雄大な夢を見ていましたが、金銭的な面から企画倒れになってしまいました。

 

それから30数年、限定品と言えども大阪市営地下鉄のモデルがぼちぼち製品化され始め、

最初の頃はガレージメーカーの製品が殆どだったのですが、マイクロエースから新20系が

発売され、更に鉄道コレクションからも断続的に製品化され、モデルが一気に多くなりました。

50系も最初期のスタイルで発売され、限定商品の中で一番嬉しかったと振り返ります。

しかし今回、遂に一番求めていた谷町線仕様で発売され、更に嬉しさがこみ上げて来ました。

5092+5592を解結し中間車化改造、200形(旧1200形)を改造した5723+5720を

5069と5569で挟んだ編成として、現役末期の1990年頃の姿で再現しています。

その為、5092と5592には貫通扉を設置していますが、冬場の通り風の防止の改造でした。

 

独特の非対称の正面、歴史観漂う端正な側面、整然としたラインデリア、そして中間車両の

『ライト埋め』は圧巻で、全て私の思い出通り、Nゲージとなって帰って来てくれました。

50系が谷町線を去って、もう25年以上歳月が流れましたが、Nゲージの50系はこれから

当鉄道で、他の大阪市営地下鉄のモデルと共に、もちろん主力と活躍してゆく予定です。

 

2019年8月発売 発売価格9,000円(税別価格)