EF58形試験塗装機セット、3両目は18号機ですが、前回の16号機と大差はありません。

黄色い帯が16号機に比べて、少々太いというだけで、カラーリングは全く同じものです。

EF58形本体として見ると、前面窓の上に水切りを追加、窓の下側にRが付いている等、

本当に重箱の隅をつついた様な、マニアックな細かなバリエーションと言えます。

 

私は、この様なEF58形のバリエーションと、ミニカー界のスカイラインブームが重ります。

ゴハチブームとスカイラインブームが同じ時期にあったと、鉄道模型とミニカーの趣味を持つ

独特の感性で見ていた当時を振り返り、いずれにしてもマニアがメーカーに踊らされていた、

そのような気がしてならず、ゴハチとスカイラインのモデルを出せば、とりあえずは売れると、

メーカーやショップが思っていた、これは強ち間違いでは無かったと、今でも思っています。

 

ミニカーショップが、スカイラインの特注モデルを毎月の様にリリースしていた2000年前後、

ゴハチがそろそろ現役引退の時期を迎えて、残ったゴハチを求めて、今で言う『撮り鉄』達が

あちらこちらにゴハチを追って現れ、それに伴って模型もリリースされ、大手メーカーは無論

ガレージメーカーまでゴハチの模型化に特化、特定番号の車両のボディを高額発売しました。

それを見た大手メーカーは、特定番号機を完成品で製品化、一昔前のHOゲージのモデルと

同じ道を歩み、Nゲージ車両の価格高騰を生んだのも、この時期だったと思います。

特に青大将カラーは、当時を知らない若い世代にも人気があり、様々な個体でモデル化、

そして、この様な誰もが忘れていたであろう、いにしえの試験塗装機まで製品化されてゆき、

鉄道模型界のゴハチブームは、衰える事を知らないかのように、突っ走り続けました。

もっとも、Nゲージのゴハチはブーム以前からありましたが、特定番号機は有名なお召機の

61号機があっただけ、他は定番のカラーリング違いだけで、ボディ自体は全て同一でした。

 

そんな多彩なゴハチのモデルが、鉄道模型店に続々と入荷している頃、ミニカーショップでは

スカイラインのモデルが次々にリリースされ、それは殆ど毎月の様に発表されていました。

有名なレース仕様や、C10系所謂『ハコスカ』から名車の誉れ高い『R32GT‐R』に至る、

スポーツモデルを主体にモデル化され、それらが一通り製品化されると、今度は人気薄の

R31系やC10系以前のプリンス時代の車型、更には1600や1800モデル、遂にバン等も

スカイラインのミニカーマニアのターゲットにされ、メーカーも次々に製品化してゆきました。

呆れた例では、スカイラインに縁もゆかりも無い、催し物や映画の印刷をボディに施して、

『次のスカイラインの特注モデルが出ましたよ』と、言わんばかりに売った物件もありました。

昔の1800やバンのモデルは、実車が現役の頃から、既に何種類か製品がありましたが、

当時は『タダのスカイライン』として、スカイラインマニアは、見向きもしなかったのですが、

この時代のブームでプレミアが付き、今では普通に手が出せない高価格になっています。

 

この様に、EF58形とスカイラインは、鉄道模型界とミニカー界に、大きな影響をもたらした

功罪のある共通点があり、私は両方のコレクターが、まんまとメーカーの生贄になるのを

目の当たりにしています。私はブームに併合することなく、正直言って冷静に見ていました。

買ったのはこの試験塗装機セットがいいところで、他は必要な1960年代の仕様を中心に

数両あるだけ、スカイラインも、実車を所有していた関係でR31系のモデルは多いのですが、

その他のスカイラインのモデルは、R31系のついでに買ったものが殆どです。

 

今後も当ブログにて、EF58形とスカイラインのモデルは登場しますが、他の車種に比べると

少数派で、先述べの様に、ブームに惑わされずに購入した物件と、見て頂けたら幸いです。

 

2005年発売 発売当時価格27,000円(4両セット税別価格)