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昔の典型的な駄玩具といった、懐かしい趣のコンクリートミキサー車が今回のお題です

派手な色使いは駄玩具のお約束で、このミキサー車は何度も分解して組み立てられる

一種のパズルとなっていて、その為にバラした時にパーツ割が容易な様になっており

一定の年齢以上の児童は楽しめる、プラモデルの一歩手前を見据えた駄玩具と言えます


あちらこちらに残るバリや、透明になったミキサー部分の、ええ加減な接着状態など

駄玩具としての体裁やカラーはともかく、それなりにまとまった程良いスタイルを持ち

正面の表情は、初代T720三菱キャンターの後期型に似ており、発売された年代から

参考にしたと十分考えられ、古き良き時代のトラックの、平均的なスタイルと思います


このモデルは私にとって、幼い頃の或る1日を思い出させる、今となっては懐かしい

そして後悔も含めた、幼児体験が詰った、是非とも取り戻したかったモデルでした


私が子供の頃の話、月に一度は隣街の比較的大きな商店街へ、母親と買い物行くのが

恒例行事で、主な用事は食料品のまとめ買いや衣料を買う事でしたが、私にとっては

その時に何か一つは買ってもらえる、駄玩具が目当てで、それに加えて小一時間程度

バスに乗って行く事も嬉しく、買出しの日を、何日も前から楽しみにしていたのでした

その買出しの時に買ってもらったのが、取りも直さずこのコンクリートミキサー車で

今でも店頭で選んだことを、ハッキリと覚えている位、嬉しかったミニカーでした


このミキサー車を手に持って『どうもこれはパズルになっているな』と、思った私は

今に続くバラし癖が発症し、バラそうとすると、母親から『お父さんが帰って来る迄

バラバラしたらあかんよ。一人で組めなくなるから、お父さんと一緒に遊びなさい!』

と、強く言われましたが、どうしてもバラしてみたくなって、悪魔の囁きが聞こえ

『タイヤだけなら外して元に戻せるからバラしてみよう』と、白いタイヤの押さえを

抜こうとした時、シャフトが折れてしまい、タイヤは見事に床へ落下してしまいました

もう目の前は真っ暗、頭の中は真っ白、母親に怒られる事を恐れ、証拠を隠蔽しようと

あれこれ考えましたが、既に後の祭、夜になって親父が帰って来ると、母親が一言目に

『後でパズルのミニカーを一緒に分解して遊んだって。楽しみにしてやるから!』と

今となっては地獄のセリフを・・親父も乗り気で『面白そうやな』と笑っていましたが

その数十秒後に、両親の笑顔が180°変換されたのは、言うまでもありません・・


それ以来、タイヤの外れたコンクリートミキサー車のパズルを、見るのも辛くなり

おもちゃ箱の奥深くに沈んでしまう、悲しい運命となってしまうのでした


あれから45年以上の歳月が流れ、様々なミニカー及びモデルカーに出合いましたが

あのコンクリートミキサー車の事は特に忘れられず、心の片隅に残り続けていました

遊び捨てられる駄玩具の事、恐らくこの世に残っていないだろうとも思っていました

地方の玩具店やネットオークションでも何年も探し続け、それでも一向に見つけられず

諦めていたその時、今年になって奇跡は起こり、何とブリスターパックと台紙も残る

正に幻のコンクリートミキサー車のパズルが、今、私の元に帰って来てくれました

脳裏に鮮明に残っていた、コンクリートミキサー車そのものが、再び私の手中にあり

人生の悔いを一つ取り戻せ、本当に小さな悔いですが、私にとっては大きな再会です


ブリスターパックはホチキス留めなので、貴重なパッケージにダメージを与えないで

簡単に取り出せ、すっかり年老いた私の手のひらに、コンクリートミキサー車を置いて

見ると、やはりバラしたくなりましたが、もう二度と親父はこの世に帰って来ないので

バラすのはやめて、再びブリスターパックに戻し、このまま永久保存しておきます


もちろん当博物館の殿堂入りで、後継者に引き継ぐリストにも、新たに入れておきます


1960年代~1970年代前半に発売 発売当時価格150円(製品の値札による)