





現在大きく変貌を遂げようとしている、大阪阿倍野の約48年前の写真です
伯父の残したカラースライドフィルムから発掘したもので、1965年5月30日の阿倍野の一部の空気が
そこに写し出されており、現在あべのハルカスとしてリニューアル工事中の懐かしい近鉄百貨店あべの店の姿と
向側の国鉄天王寺駅ステーションビル、それと近鉄百貨店の屋上から東側を見た風景を撮影しています
あべの近鉄前交差点には歩道橋も無く、まだ路面横断だった頃の様子も記録され、また近鉄百貨店の屋上には
観覧車や飛行塔の姿も見え、百貨店全盛期の華々しい時代をうかがい知る事も出来ます
国鉄天王寺駅西口は今も同じ姿をしていますが、駅前広場には何も無く、非常にスッキリしています
並んだ市バスの新旧塗装は貴重な記録で、前を走るマツダB360も偶然トラックとバン2台写り込んでいます
一方、近鉄百貨店の屋上から東側を望んだショットは、北寄りから南寄りのかけて信貴生駒山系を望み
二上山から葛城金剛山系へと連なる様子が、一目でわかる風景が写し出されています
現在も山は変わらぬ風景を望む事が出来ますが、高い建物が一切見られず、この頃の大阪府東部地域は
我街を含めて、本当に開発が遅れていたのだと、このショットからも感じ取れます
また国鉄天王寺駅の構内が一部見え、大阪環状線の101系と関西線のキハ30系の姿も写っています
真東からの写真、近鉄あべの橋駅を発車する近鉄南大阪線の電車は、現在復刻カラーが見られる
ラビットカー6800系の本来の姿で、ここでも貴重な記録として価値のあるものです
最後にフィルムが余ったのか、下から見えた近鉄百貨店の飛行塔を写して、撮影を終了しています
冒頭にも述べましたが、今大きく変わろうとしている、大阪阿倍野の約半世紀前の、ほんの一部の記録です
私の幼年期の記憶に近いこれらの記録は、今は亡き伯父が何気なく残したスナップショットに過ぎません
しかし、このノンビリとした風景はこの後20年程で急激に過去のものとなり、21世紀の現代では
全くと言ってよい程、その面影は消え去ってしまいました
間もなくあべのハルカスの完成を見、これらの記録よりもっと高い所から遠景を望む事も可能になります
しかし、そこから阿倍野の街の空気は読み取れるのか、私は疑問を感じています
確かに、既に阿倍野の街中の空気が、この懐かしい阿倍野の空気ではないので、もし読み取れたとしても
心に何も感じないかもしれませんが、あの行くだけで嬉しかった『都会村・あべの橋』をほんの少しでも
思い出させる何かを求めて、完成の暁には、伯父の残したこれらの写真と同じ方角からのショットを
撮影に出かけたいと思います