


トミカ30周年復刻シリーズ、今回はC110系スカイライン『ケンメリ』のモデルですが、このモデルも前回のハコスカと同様に、シリーズ中でも残念な部類に入ってしまう復刻でした。
このモデルの原型は非常に出来が良く、流麗なケンメリGT-Xのフォルムを的確に捉えた、素晴らしい1台でした。特に最初期モデルは、実車のイメージカラーだったメタリックブルーに近く、また初期のホイールが実物のホイールカバーに似ていた事もあり、当時のトミカとして完璧なモデルでした。
もちろん私も購入し大切にしていましたが、残念な事に盗難にあってしまい、手元に残っていません。あまり言いたくはありませんが、小学生5年生当時の友達が出来心で持って帰ったと思われ、後年ある友達の家に言った時に、私の物と思われる当該モデルが彼の机の上にありました。その証拠は片付けるケースを分類した、青い丸のシールがシャシにあり、これは間違いなく私の物と確信したのですが、そこは黙って見過ごしました。しかし彼とは徐々に距離を置く様になりました。
そんな悲しい思い出のあるトミカなので、それ以降も買い直す事もなく、またその頃には、非現実的な真空メッキのグリーンに、ボディカラーが変更されており、購買意欲も無くなっていました。
そしてやっと今回のモデルの話ですが、前回のハコスカ程ではないにしろ既に原型が失われ、GT-Rタイプのオーバーフェンダーやリアスポイラーが追加された、何とも醜いモデルとなってしまいました。その為、流麗なGT-Xとしては永遠に再生産出来なくなっています。更にフロントグリルはGT-Xのまま、中途半端なGT-Rモドキの様な仕上がり、もう無茶苦茶なモデルと言わざるを得ないでしょう。ハコスカの場合は、復刻をを21-1ではなく21-2としてラインナップに加えていたのなら、それで高評価の対象になったのですが、このケンメリは品番も変えようが無く、どうしょうもありません。
ここまでしてまで、このモデルを30周年復刻モデルの一員に加える必要があったのでしょうか。歴代スカイラインのモデルが売れ筋とは十分承知とした上で、同じスカイラインでも、きちんとした復刻が可能なC210系、通称ジャパンでも良かったのではないかと思います。もっとも、トミカのジャパンも、前期型から後期型に金型が変更されていますが、後期型としては原型は崩れておらず、もし私が担当者ならばC210系を復刻モデルとしていたと思います。
ケンメリGT-Xのミニカーは、元祖ダイヤペットと言いトミカと言い、揃って出来の悪いGT-Rモドキに、またプラモデルの世界でも暴走族仕様に、かなりの数のキットが改悪されてしまった残念な歴史があり、モデルとしては『悲運のスカイライン』だったと、私は思っています。
2001年2月発売 発売当時価格 180円(税別価格)