学校から帰ると機嫌のいい母が

「はい」

笑顔で何かを手渡してきました

受け取って見ると


リボンが散りばめられたピンクの

可愛い服でした


普段着ている服はお下がりの

ボーイッシュな感じが多く

本当は可愛い感じの服が着たいが

言えない私はこの服が凄く嬉しいかった


新品である事もそうだし

何より母が私の為に買ってくれた事が

とても嬉しかった


直ぐに着て何度も鏡の前に立って

喜んでいると


「それ、幾らだと思う?」


その言葉で母を見ると 

私の嫌いな小馬鹿にした顔付きで

喜んでいる私を見ていました


その顔に嬉しかった感情が消えました


そして母がこう聞いてくる時は

何でもとても安く買った時

わかっているが

買った金額より安い値段を言うと

「失礼だね、そんなに安くかえるかよ!」 

怒り出すのであえて高く言わなくてはならない


毎回、母の買い物上手自慢のこのクイズに

付き合うのは面倒くさいが

付き合わなければ機嫌が悪くなる


「3000円?」

そんなわけ無いがあえて高く言ってみる


「そんなに高い訳無いじゃん」

わかってる


「2000円?」


「ノー」

機嫌のいい時に出る言葉


「1500円?」


「ノー」


「1000円?」


「ノー」


小馬鹿にして笑い始める母に

イライラしてきました

当てなければ終わらないクイズにも

 

「500円?」


「ノー」

いらつかせるこのノー


「いい加減教えてよ」


「ふっふっふ・・・300円

 そんなんで喜べるなんて

 お前も安っぽいな


値段なんかどうでもいい

母の態度と言葉に

怒りと悲しみが爆発してしまった

お前も安っぽいな

この言葉に傷付いた


「いい加減にしてよ

 私はお母さんの

 おもちゃじゃないからね


怒りに任せて出たよくわからない言葉


しかし母の中で

お母さんのおもちゃじゃないからね

が1人歩きする


長子おばさんを始め会う人々に 

「ななに服買ってあげたのに

 お母さんのおもちゃじゃ

 ないからねって言われちゃった」


自分が散々からかった事は言わず 

母の選択した服が私が気に入らなくてと

また自分の都合のいいように婉曲して

言って回った




買う時は私の為に選んでくれた 

と信じたい


手渡してくれた時も喜ぶと思っていた

と信じたい




普通の母親なら

子供が喜んでいる事を嬉しく思い

「気に入って良かった」

「安いものでごめんね」

「可愛いよ」

などと言うのではないだろうか



何故いつもこうなってしまうんだろう