中学2年生だった1971年暮れ、それまでコツコツ貯めていた小遣いでモジュラーステレオと「雨のエアポート/欧陽菲菲」・「悲しきジプシー/シェール」のシングル盤2枚を買って「おお~ やっぱりステレオで聴くと全然違う!」と感激してから半世紀が過ぎた。

 

モジュラーステレオと言っても本体・スピーカー共にペラペラのプラスチックで出来た5~6,000円位のものだったと記憶している。ターンテーブルはシングル盤の大きさなのでLPレコードだと本体から大きくはみ出してしまう。交換針はロネット式。マジックペンで大きくジャッキー・スチュワート(当時活躍していたF1レーサー)と書いた、今見たらこっ恥ずかしいスピーカーを壁の上方に取り付けて広がり感たっぷりの音を満喫していた。

 

↓ 実物ではないが、こんな感じ

 

当時は松下、ビクターなど複数社から発売されていて、その中でも自分なりにかなり迷った末に一番しっくりくるデザインのものを選んで買ったものだ。

 

そこから「オーディオは見た目」が始まっている。

 

決定打は1975年。

3億円事件を題材にした沢田研二主演のテレビ番組「悪魔のようなあいつ」

 

犯人(沢田研二)が隠れ住んでいた倉庫の奥部屋(だったような気がする)に置かれていたアンプ、チューナーなどが別々の所謂コンポーネント・ステレオ。あまりのカッコ良さに目が点になった。

 

それ以降、ジャッキー・スチュワートと書いたモジュラーステレオが急に安っぽく見えてしまい、 ” コンポーネント・ステレオ を買う!” が目標になった。

 

 

そもそも電気・電子についてはアッパッパー(戦中戦後に流行った頭から被るだけの女性用簡易服... じゃなくて)なので、

 

さらに ”未踏” の音へ。

アートと呼びたい表現力。

そしていま、神話は蘇った。

深奥なるドラマを、あるがままに。

 

貧乏くさい4畳半がまるで特上のオーディオルームに変貌するかのように夢想させる芳しいキャッチコピーを鵜呑みにし、ワクワクしながら穴が開くほどカタログを眺めたり売り場をうろつき回った。

 

その後高校を卒業し就職してまもなく、母を保証人に月賦で念願のコンポーネント・ステレオを買った。泥沼のはじまりだったw

 

スピーカーはやっぱりダイアトーンだよなぁ。カセットデッキは3ヘッドが良いそうだ。メーター付きのアンプってカッコいいな。友達が買ったのと同じシュアのカートリッジが欲しい。ほとんどバカ丸出し。そんな程度。

 

いや、今でも変わらんか。

ちょっと懐が暖かい時期に買ったアキュフェーズの下位クラスのアンプは高齢だけどメーター付でカッコいいので手放せない。3年前にメーカーにメンテしてもらったからなおさらだ。6万円もかかったし。

 

 

エッジが効いた硬い音、ふわっとした暖色系、脂っこい濃い音、三ツ矢サイダー系、音色にはさまざまあるからおもしろい。

 

ケーブルを赤白じゃないものに替えたりプラグの極性を逆に挿したりバスレフポートにスポンジを詰めてみたり、金がかからず面倒でもない事をこちょこちょやっている。良くなった気がすればラッキー。錯覚だろうが何だろうが好みの音なら言うことなし。

 

学者が測定数値を分析したり評価するのは分かる。しかし、だからオーディオ機器としては云々と語る賢しら輩とは磁石の同極同士。永遠にお近づきにはならない。

 

これからもずっと  ~のような気がする「錯覚を楽しむ趣味」は続く。