SPENDOR SP3/1P

方式: 2way 2スピーカー/バスレフ方式
使用ユニット: 1.9cmドーム型 + 16cmコーン型
周波数特性: 60Hz~20kHz
インピーダンス: 8Ω/音圧レベル: 88dB
クロスオーバー周波数: 4kHz
最大音圧レベル: 103dB/最大入力: 80W
外形寸法: W220×H400×D280mm
重量: 9.5kg

 

ヤマハビューティーの如く繊細に煌めくピアノ、透き通る女性ヴォーカルや流麗なストリングスが持ち味。なのに重低音が凄い。それは地鳴りのように家中を震わすのではなく聴き手を真綿でそーっとぎゅーっと柔らかく包み込む感じ。上品な中高域帯を邪魔することなくふわーっとした重~い低音。とても不思議な感覚だ。

 

SPENDOR SP3/1Pの周波数特性は 60Hz - 20kHz だが、カタログ数値よりやや低いあたりをしっかり出しているのにその上のバスドラのドンッやエレキベースの低音は力強くない。しかも薄味なのでハード/ヘヴィーロックなどには向かない。

しかし 100Hzより下の重低音の中でも特に低い 40~60Hzあたりはドライアイスが迫って来るように部屋中を包み込む。この辺はバスレフ型ゆえなのかもしれないが。

 

 

それを発見した経緯は、このアーティストをこのスピーカーで聴くのは合わないだろうという先入観を排除して、ピンク・フロイドの「エコーズ」を鳴らしてみたことによる。

 

月並みな表現で恐縮だが、

風にそよぐようなギルモアのギター、宇宙空間を漂うようなリック・ライトのシンセ、微妙なテンポ遅れ(のように聴こえる)でベタベタ叩くニック・メイソンのドラムス ... 映像のようなフロイド・サウンドにロジャー・ウォーターズの重低音ベースが唸る。元々ロジャーのベースは旋律派ではなくリズムを重~く入れ込むタイプ。これをパワフルにではなくSP3/1Pが発するソフトな重低音が曲に深みを加えている。この重低音が曲の迫力と凄味に何倍もの違いを醸し出す。これがないとラジカセで聞いているのと大して変わらない ... と思えるほど。

 

アンプ: Accuphase E-306/SONY SONY TA-F333ESX

CDプレーヤー:Panasonic SL-PS700/SONY CDP-557ESD/YAMAHA CDX-1050

これで厚みや広がり感をどこまで表現できるのか試聴した。

 

SP3/1Pの個性は購入した後に分かったことだが、スピーカーを複数設置できる環境ならば、クラシックと相性が良さそうなスピーカーでプログレを聴くのも面白いかなと思う。ちなみにSP3/1Pの人気は今一でヤフオクでも落札価格は低調に推移している。

 

 

さて、ここからはエッジ交換の話。

 

私が購入したのは見た目が大変素晴らしく、出品者もエッジ割れについて特に言及していなかったのだが、商品到着後に念のために振動板を指で押してみたところ、やっぱりエッジが劣化割れしていた。

 

出品されているSP3/1Pはほぼ全てがエッジ割れしているものと考えていい。見た目なんともないように見えても ↓↓

 

で、さっそくエッジ交換。

爪で表側の耳を剥がすきっかけを作ってあげれば後は簡単。

 

コーンはポリプロピレン製なので比較的安心して剥せるが、とは言え慎重に。

 

オリジナルと同じ逆ロール(凹)エッジはファンテックで扱っている(RP55)。ただ表側の耳幅がオリジナルよりかなり短い(狭い)のでどうしても剥がした跡が残る↑が、まぁこれくらいはOKってことでw

なお、寸法さえ合えば通常の凸タイプでも問題はない。

 

一般的にエッジは FUNTEQ や NORTHWEST TRADING 等から購入すれば作業手順書が同封されるし、他にネットでもたくさん紹介されているので素人でも出来ないことはない。特にお気に入りのスピーカーだからと失敗を恐れるなら、ジャンクスピーカーを購入して練習してからでもいいと思う。ともかく業者はお高いので。

 

センター出しにビビることはない。

コーン側を先に糊付けして十分乾いたら、両手でコーン紙左右を同時にそっと押してガサガサ(ボイスコイルに擦れる音)しなければOK。するようであれば外周フレーム側を糊付けする際にガサガサしないポイントに合わせればよい。

 

案ずるより産むが易し