JBL S3100(38cmウーファー)の上品で端正な顔に似合わぬ圧倒的な馬力に魅了されまくっているが、ウチに3組ある16cmウーファー・スピーカーをあらためてじっくり聴き比べし、やっぱり「なかなかいいぞ」と実感した。

 

そもそも16cmウーファーは凄い!と思ったのは、JBL S3100のエッジ交換がきっかけだった。業者に依頼すると高額なので自分でやってみようと決意したものの経験がないので、練習用にハードオフで ONKYO D-150 Liverpool (2way, 16cmウーファー) ジャンクを 2,000円で買った。エッジ交換後試聴して思わずニンマリ。繊細な高域や立体感のあるカチッとした中域を求める人には向かないが、暖色系で艶のある中高域と豊かな太い低音を好む私にはピッタリだった。

 

意外に好みのタイプだったのでしばらく愛用していた後に「エッジ交換済、ワックス掛け済、ほぼキズなしの美品」でヤフオクに 2,000円スタート出品したら入札数19、5,850円+送料で落札された。商品到着後に落札者から「予想以上の低音の迫力に驚きました」とメッセージが届き、満足していただいたことにこちらもうれしくなった記憶がある。

 

16cmウーファースピーカーは侮れない! 

奇を衒ったデザインは好まないのでシンプル顔のバスレフ型&10kg前後の重量級をいろいろ集めた。

左から

ONKYO D-202AⅡLTD

(2.5+16cm / 36Hz - 35kHz / W205×H333×D318mm / 11kg)

さすがはD-202シリーズのフラッグシップ。厚みのある堂々とした音だが、設置位置の高さやインシュレーター、あるいはバスレフポートの塞ぎ具合を上手に調整しないとボンついて安物スピーカーと変わりなくなってしまう。これがピタッとハマると色艶たっぷりで立体感・広がり共に申し分ない本来の力を発揮する。エッジの効いた硬さではなく暖色系。

 

Wharfedale DENTON 85th

(2.5+16.5cm / 45Hz - 20kHz / W240×H340×D287mm / 9kg)

品の良さを感じるが現在はまだエージング不足か、全帯域を直球で投げ込んでくる段階。こなれてくるとチェロの太さとヴァイオリンの細い線が塩梅良く鳴る予感。使い込むほどに、丸の内オフィス街をハイヒールで闊歩するツンとした美人のお姉さんから、笑顔が愛らしくも凛とした女性に変貌していきそうで楽しみ。噛むほどに旨味が増してくるような期待を抱かせるスピーカーだ。

 

SPENDOR SP3/1P

(1.9+16cm / 60Hz - 20kHz / W220×H400×D280mm / 9.5kg)

音の傾向が如何なるものか何の情報も得ぬままシンプルな見た目だけで買った。が、その個性はちょっと聴いただけですぐ分かった。ヴォーカルでいえばシャウト系のチャカ・カーン、濃~い熱唱型のグラディス・ナイトやトム・ジョーンズ等とは 真逆の 手嶌葵、トワ・エ・モアの白鳥英美子、「坂の上の雲 メインテーマ STAND ALONE」のサラ・ブライトマン。繊細に煌めくピアノは(ヤマハじゃないけど)ヤマハ・ビューティー。ロックは合わない。なめらかに流れるようなストリングスの清潔さに心が洗われる。

しかし SP3/1Pの魅力はそれだけではなかった。どういうことなのかは次回にて。

 

SANSUI S-α7 (長男宅で安住している) 

(2.5+16.5cm / 40Hz~22kHz / W216×H340×D340mm / 10kg)

木目とバッフル版の絶妙なブルーカラーがマッチした純和風顔。端正な見た目は上位の S-α9を凌駕する。音質はまろやかというより涼やかな印象。ただセッティングはややシビアなので、根気よくベストポイントを探し当てれば爽やか系の音楽なら他に譲らないくらいの魅力を発揮する。

 

 

16cmウーファー・スピーカーには多くの長点がある。

設置場所に困らない / 一人で持ち運べる / エッジ交換し易い / 小型ならではの定位の良さ / 13cm前後のスピーカーとは出音の次元が違うので「クラスを超えた~」などのエクスキューズ(弁解・言い訳)に妥協することなく本格的な中低音を堪能できる / モデル数・個性・価格帯が豊富 ... 等々の良さがある。さらに出品の際はダンボール1個(120-140サイズ)に収まり梱包に苦労しないので乗り換え・買い替えの決断がし易い(笑)

↑↑↑ 意見には個人差があります(笑)

 

話は戻るが、

JBL S3100のエッジ交換には苦労した。本来エッジ交換はまず本体を仰向けに倒してからユニットを外して行なうのが基本中の基本。立てたままだと最後のボルトを外した瞬間にウーファーユニットをボトッと落下させる可能性があるからだ。コーン紙が破け、配線に無理な力が加わって無残に外れる可能性あり。しかし S3100は、W561×H1,115×D406mm 重量56.8kgの巨体である。本体を倒すスペースもないし、もしあったとしても65歳の妻と二人ではムリムリ。

 

そんな訳でやむなく立てたまま作業開始。上記のザマにならないようボルトを一本ずつ慎重に外し、最後の一本を外す前にユニットを膝と片手で押さえつつ ... おっ!と思った瞬間に落下。予想外の重量に自分はあまりに非力だった。ユニットが傷つかなかったのは不幸中の幸い。が、不幸は続く。細心の注意を払いながらグッと気合を入れてもう片方のユニットに臨んだものの ... またやった。重すぎるぜ。参った!

ちなみに妻が両手で持ち上げようとトライしてみたが、絶句。全く相手にならなかった。

 

結局まあ何だかんだで作業は無事に終了したのだが、この時に交換したのはクロス(布)エッジ。オリジナルはウレタンだが先々のことを考えての選択だった。だが、あまりに低音が出ない。相対的に中高域が耳を突く。ブレーキフルードを様子を見ながら何回にも分けて塗布しても効果なし。あの圧倒的な馬力の低音は何処へ行った。

 

1年ほどエージング効果を期待したが蘇ることはなかった。

このままだと宝の持ち腐れ。ということで泣く泣く再度のエッジ交換を決意した。

 

モチのロンで今度はウレタンエッジを購入。

前回の悪夢が再びとならぬようさらに気合を入れ、ボルトを外す順番を工夫し、落としてもダメージ最小にするため手前に座布団を敷き ... 落とした。もう片方も。笑うしかない。

 

で、今回も何だかんだで無事に作業終了。

出音は ... 待ち望んでいたあの中高域、あの低音が戻ってきた。これぞ JBL !

それから数年経って現在は絶賛驀進中。マーク・ノップラー/ワグ・ザ・ドッグ での重低音は家全体を震わす。中高域デッドやボンつき低音とは無縁の正に威風堂々たる音。素晴らしい。

 

ただ、ウチでは16cmウーファー・スピーカーがメインなので、S3100の出番は少ないが ウェザー・リポート、オスカー・ピーターソン・トリオ、MJQ(モダン・ジャズ・カルテット)など鳴らすとやはり JBL38cmは絶品なのである。

 

38cmウーファーはボリューム位置9-10時あたりで家を震わせ、それはそれで大きな魅力だが、住宅事情を考えると一般的とはとても言えない。そこで16cmの登場となる。13cm以下の小さなユニットからは得られない厚みのある豊かな広がりが聴き手を包み込む(← バックロードホーン型だと小口径でも得られるのかも)。

 

次回は、不思議な魅力の SPENDOR SP3/1P について。