海外のスタジオで広く使用されていて、安価な世界の定番ということで日本にも飛び火した人気のヘッドホン。

 

AKGはアーカーゲーと読む。アイスクリームのガリガリ君で有名な赤城乳業とはたぶん関係ないんだろうなぁとは思いながら調べてみたら、1947年にオーストリアのウイーンで設立された音響機器メーカーとのこと。ドイツ語っぽい発音だなと思ったけどやっぱりね。オーストリアはドイツ語を公用語とする国だそうだ。お隣だし。

 

セミオープンタイプのため音の抜けは抜群とか、ヘッドホンはこれ一台で決まり!とか、こもった音にがっかりとか、まあいろいろと賛否両論あり。

音は、音響工学の理屈に合ってるとか機械測定値が優秀ならいいという訳ではない。メーカーの意味深(根拠のかけらもなくただ思わせぶりなだけ)で感性を揺さぶるキャッチコピーに洗脳されたり、デザインに一目惚れということもあろう。オーディオは錯覚と自己満足の世界だから、低価格・不人気モデルだろうが自分が良ければそれでOK。人からとやかく言われる筋合いはない。

 

話は逸れるが、

双眼鏡が必要となりいろいろ調べていたのだが、双眼鏡に限らずどんな製品にもピンキリは付き物。価格、性能、見た目、アマゾンレビュー、ブランド等々鑑みて私は ⇩ を買った。

 

amazonで3,960円。私はこれの型落ちグリーンカラーの未使用品をメルカリで1,000円以上安く入手した。

売れ筋8倍率のお手頃商品は選択肢が多すぎて大いに迷うのだが結局はVIXEN(ビクセン)とコールマンのタイアップ商品、「Coleman」ロゴ入り、というだけで決めた。

まあこんなもんでしょ。DUNLOP、JOHN LENNON、LUXMAN等々、カッコいいロゴが付いていれば何でもいいw 

仮に数万円の双眼鏡を買ったとしても満足度に大した違いは無かろうと思う。高額商品を買った場合は、価格に見合った非常に良い品なのだと思い込まなければやってられないが、貧乏人はそういう空虚な満足感よりもコスパ大優先なので間違いは少ない。無い じゃなくて 少ない というのは、たま~に安物買いの銭失いが無きにしも非ずだからw

 

話を戻す。

AKG K240 studio を買った。

 

頭がデカく眼鏡使用の私でも装着した際の圧迫感がまるで無い快適さに驚いた。長時間使用でも装着疲れしなさそうな感じは大変良い◎

 

肝心の音は ・・・ こもってる・・・

昔からドンシャリ系に慣れ親しんできた私なので特にそう感じるのかもしれないが、いやいやこれじゃあダメでしょ。

日本の歌謡曲、英米のロック・ポップスをこよなく愛する私には、のぺ~っとして張りのない音はあまりに合わない。

 

基本的に音楽はスピーカーで聴くのでヘッドホンを使用する機会は少ないのだが、1個くらいはあってもよかろうと思って買ったのだがこれでは使いもんにならない。

ということで、ここは信望者の多いソニーの赤帯(MDR-CD900ST)か青帯(MDR-7506)の2択だろうと考えた末に青帯を購入。

 

装着感はK240と比べて窮屈でしかもカールコードが重くて鬱陶しいが、音はドンピシャ。高域が煩くなく重低音がしっかり出る。しかもガサツではなく品良く表現することに感動した。私の場合、重低音はマーク・ノップラーのアルバム「ワグ・ザ・ドッグ(ウワサの真相)」の2曲目「ワーキング・イット・オン」でチェックするのだが、大口径ウーファーに負けず劣らず。

解像度が高くはっきりくっきりで優等生ではあるが味気なく絶望的に色気・艶がない音のスピーカーやヘッドホンは掃いて捨てるほど存在するが そうではない のが7506。さすがは腐ってもソニー。いつのまにか平凡な大企業に成り下がったソニーだがたとえ一部であっても輝きが残っているのはソニーファンにとってはすごくうれしい。

 

去年の暮れ、他県に住む長男のオーディオ機器をグレードアップしてあげようと私が所有する機器を一部あげる際に、ヘッドホンでもいい音で楽しんでもらおうとこの青帯も一緒に持って行った(父親の私に似て長男もまたソニーファンなので大喜びだった)。

 

さて、青帯がなくなってK240が残った。ほとんど置きっぱだったが先日たまたま 38スペシャル(レイナード・スキナードの弟分バンド)を聴いたら・・・えっ! 音がこもってない。

普段よく聴くビートルズ、柳ジョージ等々... 今までのK240だったらメリハリ不足の消化不良で聴けたもんじゃなかったけれど、まあまあ、良い。アーロン・ネヴィルやカーペンターズは心地良い事この上なし。

 

次にチャイコフスキーの「白鳥の湖」・「くるみ割り人形」を聴いてみた。

ふむふむ、やっぱこれだよなぁ。静寂と躍動、管弦楽器が奏でる深さと広がりは申し分なし。打楽器のクラシック的な弾け具合も心地良い。

 

あのプロケーブルが絶賛しているのも分かるような気がしてきた。

音質がソフトなので聴き疲れしない、上品でなめらかな音とはこういうものなのか、やさしく穏やかなのでちょっとリッチな気分で落ち着いて長く聴いていられる。

 

いわゆるエージング効果?

そんなもん耳が慣れただけだとおっしゃる方もおられるが私はそう思わない。まあ、その辺の議論は置いといて、多くの人が称賛するK240を実感するのに結構時間がかかった。購入したのが 2020.10.31だから2年半位か。とは言っても実際使用したのは数十時間だが。

 

K240や7506に限らないが、録音の良いディスクとそこそこの出力装置がなければせっかくのヘッドホンも宝の持ち腐れというもの。CDラジカセやパソコン内蔵の なんちゃってDAC 程度の機器は論外だ。

 

ということで結論。

クラシックや大人のヴォーカル、しっとりとした円熟の腕利きプレイヤーの演奏を数千円の予算で堪能できる K240 studio は極上の選択だと思う。

 

ただ個人的には日頃クラシック音楽やしっとり系ばかり聴いている訳ではないので、やっぱり密閉型・ソニーの青帯(MDR-7506)は欲しいw

 

住宅事情もいろいろあるので、満足する音量でスピーカーを鳴らせない人にとってヘッドホンはとても重要なアイテムだ。

ぜひ好みの音に合ったヘッドホンと出会っていただきたい。

 

そこで大事な点は何万円もする高額品は要らないということ。前述の双眼鏡の所と重複するが、本当はよく分からないけど大枚をはたいたんだからこれが良い音だと信じようとする貧乏くさい納得のしかたはみっともない。

 

高額商品ほど所有することの優越感を強調し、難解で抽象的・暗示的・専門的な言葉を取り混ぜて市井の人をけむに巻く。霊感商法とさして変わりない。根拠がないからスピリチュアルな錯覚の世界へ導こうとする。

 

だから私の身の丈に合わないゼンハイザーHD800は要らない。

K240 と 7506があれば他は要らない。

 

追記:

AKGは低音が弱いと言う人もいるがそんなことはない。「ワグ・ザ・ドッグ」でのゴォ~っと部屋を震わす重低音こそ出ないが、そもそもヘッドホンにそれを求めるのは酷というもの。一般的なロック、フュージョンでのベースギターは全く不足を感じないので K240 studioはセミオープン型でありながら密閉型の迫力をそこそこ兼ね備えていると言える。

なお、ハードロック、ティンバルのパァーンと弾ける打楽器が魅力のラテン・サルサ等、乾いたスピード系の音を主に好む人には全く向かない。