25歳の頃…
その世界に吸い込まれた小説があった。

森瑶子の『アイランド』である。

何故だか急に思い出し
時を経た今、再びページをめくった…




ミカドとメイサは、年に一度の逢瀬では満足できず、深い悲しみと辛さに耐えられなくなってしまった。そして、この二人は天の川から追放された。二人は愛の記憶だけをたよりに、宇宙の広大な闇を塵のように漂い、気の遠くなるような時を経て、再び巡り逢う…。

この小説は羽衣伝説と天の川伝説をもとに愛について書かれたものだ。




小説の中で惹かれた台詞がある。


『人間が不幸なのはな、他人に期待しすぎるってことだよ。期待をしなけりゃ、裏切られるということもないのさ。同様に、人を許せないってことは、そいつを愛しすぎるからなんだよ。』


『偶然なんていうものは、この世の中にはありえないんだ。偶然というのはすべて必然であり、宿命なんだよ。』



“愛しすぎるゆえに、許せない”
“すべて必然であり、宿命”

私は大切な人を思い出し胸が高鳴った。




『私達の愛は永遠なのでございます。永遠の愛を宿命と申します。私とミカドの愛は宿命なのです。』



もし輪廻転生と言うものが存在するのであれば、“愛” という記憶だけは残るのかもしれない。

私にも、その記憶がどこかに残っているのだろうか…。
現世で、愛する人と巡り逢えたのか…。




永遠の愛…

しばし物思いに耽ったあと…
こんな風に考えた。



『やっと逢えたね』

そんな想いが、人と人を惹き付け合うのかもしれない、と。


たとえ
前世の記憶が甦らなくても…



碧七