肩を上げて大きく息を吸い込み、叫んだ。遥か彼方にある、水平線に向かって。



そのまましばらくぼんやりと、寄せては返す波と真っ青な空を見つめていた。

瞼がじんわりと熱くなり視界できらめく青色が滲んだかと思うと、正体のわからない想いが溢れ出してしまうのには、そう時間はかからなかった。



このまま、


この海と

この空と


溶け混ぜ合ってしまいたいと



強く、強く。






長いこと追い求めていたらしい景色を前にしたとき、わたしの心は驚くほどに動揺していた。こんなときでも理性が働いていることになぜだか情けなくもなったが、渇望して止まなかった空気の中に包み込まれた幸福感に浸りつつ、どうしようもできないもどかしさに襲われた。






一度でも感じてしまったこの胸の昂りは、きっとわたしの中から消えることはないだろう。そしてまた、欲しがってしまうのだ。





狂おしいほどに。何度でも。