台湾の彩虹眷村や、ベネチアのブラーノ島、メキシコのグアナファトなど、世界には多くのカラフルな街が存在するが、ここ、オランダ・アイントホーフェンにも、カラフルな「街」とまではいかないが、カラフルな「エリア」が存在している。

 

Eindhoven Strijp‐S(アイントホーフェンストライプエス)というスプリンター(各駅停車)しか停まらない小さな駅があるのをご存じだろうか?

今回ご紹介したいカラフルなエリアは、この駅の周辺にある。

アムステルダム中央駅からインターシティ(オランダの特急電車)に揺られること2時間、Eindhoven Centraal(アイントホーフェン中央駅)で乗り換え、アムステルダム側に一駅折り返すと〇で囲んだエリアであるEindhoven Strijp‐Sにスムーズにアクセス可能だ。

およそ地元民しか知らないような、たいへんローカル味溢れるこのエリアには、都会的な賑わいを見せるセンター街とは一味も二味も違った同市の別の側面を見ることができる。

本帰国目前ということで、帰る前に一体どのようなエリアかを探ってきた。

このあたりの案内地図がでかでかと掲げられていた。

どうやら、「エディソン通り」沿いに見るべきものがたくさんあるとのことで、この通りをセンターに近い側から順に歩いてみよう。

 

まず目に留まったのがこちら、De Gulle Griek

南欧風の建物がひときわ目を引くこちらのお店は、アイントホーフェンでは珍しいギリシャ食材専門店だ。

 

ギリシャ産のワインやパスタ、

ギリシャならではの海の幸の缶詰、

オリーブ栽培が盛んな国だからオリーブ石鹸やハンドクリーム、

まったくなんて書かかれているか読めそうにないギリシャ文字の雑誌、

日本でいう勾玉的な伝統的モチーフを扱ったアクセサリー・・・

 

エーゲ海を連想させる鮮やかなブルーの壁紙で統一された店内に並ぶ美しい品々を見ていると、オーナーのギリシャ愛が伝わってくる。

 

同国出身のオーナー手作りのギリシャ名物、オリーブとフェタチーズをたっぷりと使用したフレッシュなお惣菜なんかも手に入るので、気になった方はテイクアウトしてみてはいかが。

 

なぜか真っピンクで塗られたベンチがぽつんと置かれた謎の四角いラウンドアバウト交差点をさらに奥に進むと、今度は新しい商店街が見えてきた。

 

次にご紹介したいのがこのHella's Home

あ、ここにも真っピンクのベンチが置かれてるっ

 

店内は色とりどりの雑貨で埋め尽くされていて、カラフルでポップなものが大好きな方には超おすすめだ。

写真を撮るのはためらわれたので、ビラで雰囲気を感じ取っていただければ・・・

 

アイントホーフェン出身のアーティストが描いたポストカードなんかもあって、地元愛も感じれた。

 

少なくとも、この手の店はアイントホーフェンのセンター街にはないので、見つけたときはテンションが爆上がりしたよね。

オーナーのカラフルなものに対する愛情がたくさん注がれた、まるでさとう菓子みたいなかわいい空間だった。

 

ここは?

こだわりの服が並ぶセレクトショップだ。

 

店内に入ると、ヨーロッパらしい独特のモチーフがプリントされたリゾートワンピースが目に入った。

「もうバカンスは目前だな」などと思いながら別の棚に目をやると、アクセントカラーがかわいいミニショルダーバッグも視界に飛び込んできた。

あー、、、欲しい(物欲のかたまり)

 

店の前の柱にかけられている麻素材のようなストールが、オランダのカラッとした日差しの強い真夏でも着け心地がよさそうで、見ているだけで爽やかな気分になれる。

(そういえば日本も今年、麻系素材の服がはやってるみたいね)

 

そして、ちょっぴり珍しいのがこのお店。

グルテンフリー食材ばかりを扱ったスーパーマーケットだ。

え?こんなものまで?と思うものもグルテンフリーで作られており、興味津々。

 

そういえばPSVスタジアムの裏手には、ビーガンベジタリアン専門のスーパーがあったし、先ほどのカラフルな雑貨屋さんのお隣も、オーガニックワインの専門店だったりして、ヨーロッパってほんと食のバリエーションが日本とは違う意味で豊かだなあと思う。

 

他にもこのエリアには、

どんなお料理が出てくるのか想像もつかないモロッコ料理店、

アンティーク家具店、

「meet point」という出会い系かと思ってしまうような店名の大麻販売店、

オランダではあまり見かけないタイプの古着屋さん、

入り口にウルトラマンか何かのできそこない人形が置いてある何屋か判別不能のお店など、

どれも個性的なお店が多く、歩いているだけで楽しい。

 

さて、本題のカラフルなエリアはというと・・・

商店街の一番奥にあった。

東大の赤門とはまるで違うが、同じ赤い色をしたエントランスをくぐっていく。

あら、かわいい。

レンガ造りの地面の幾何学模様もまたいい感じに建物とマッチしている。

こっちは壁全面が着色されているね。

さっきの、白をベースカラーにドアや壁の一部だけがカラフルなのもかわいいけど、このバージョンもいい。

 

あら、ペイントも施されてるのね。

一番下の電球もったおじさんなんか、世界初の白熱電球の発明者、トーマス・エジソンだよねきっと。

奥の建物は蒸気機関車、手間の建物には蓄音機とか書かれてるし、やっぱこのあたりのウォールアートは、エジソンおじさんにちなんでるんやな。

調べてみると、ここは少し前まで古い家屋が立ち並ぶエリアだったそうだが、何年か前に町おこし的な感じで、このあたり一帯をアーティスティックで話題性のある場所に変えようと「Plan Celsius」プロジェクトがスタートしたのだという。

 

「Plan Celsius」プロジェクト詳細↓

https://www.trudo.nl/woensel-west

 

なるほど、上の写真はプロジェクト名のCelsius=摂氏にちなんで温度計や「℃」が描かれているのか。

ちなみにこれらの建物の屋上には太陽光パネルが設置されているらしい。

 

そして今もこのカラフルなエリアの拡張は行われているようなので、アイントホーフェンでこれからもっと存在感のあるエリアになること間違いなし。

日本の建築にも、こういう遊び心が少しでもあればいいのに。

以上、Eindhoven Strijp‐S駅周辺に広がるおもしろエリアの紹介でした!

 

アートとデザインの街にふさわしいアイントホーフェンならではが詰まっている、そんな世界で唯一の場所だった。

 

 

<本日の一枚>

本文で紹介したエリアは、Eindhoven Strijp‐S駅からみて北側ばかりだったが、実は南側も変化に富んでいておもしろい。

 

浴衣なんかも扱う個性的な服屋やインテリアショップが立ち並んでいたり、

おしゃれな内装のアイスクリームショップやアイント一おいしいキベリング(白身魚のフライ)屋さんがあったり、

世界的に有名なデザインの祭典「ダッチデザインウィーク」の会場になったり、

自転車を使った曲芸競技であるBMXの大会が開催されたりと、

このエリア一帯に漂う独特の雰囲気が、アイントホーフェンに新しい風を吹き込んでいる。

 

そんなStrijp‐S地区で、最近できたばかりのホットなスポットといえば・・・

eSports Center Eindhovenhttps://esportscenter.nl/en/)だ。

instagram「eSports Center Eindhoven」公式ページより

https://www.instagram.com/esc_040/

 

ここは世界初の施設として関係者から注目を集めている。

最も、世界最先端のテクノロジーシティであるアイントホーフェンに、このような施設が誕生するのは自然なことだ。

 

・・・が、google mapで確認する限りでは、オープンした矢先に直撃したコロナの影響に耐え切れなかったのか、閉業してしまったらしい。

 

近代オリンピック史上初の延期となった今夏の東京五輪において、イースポーツを正式種目として認定するか否かが議論され、今後世界中で競技人口が増えることが予測されるかなり有望な分野なので、同施設にはぜひとも復活を遂げていただきたいと願うばかりだった。