ここ最近、花粉がひどい。

日本のことを言っているのではない。

オランダのことを言っている。

え?オランダ?
花粉あんの?

残念ながらあります。
しかも、アレルギー症状が酷く出ることで有名なハンノキ、カバノキの樹木花粉が。

こちらに来て1年目はたいしたことなかった。
2年目は鼻水が多く出て、薬がなしではきつかった。
そして迎えた3年目、いよいよ一日中続く鼻づまりと鼻水、さらには目の痒みなど、ありとあらゆるアレルギー症状が自分を襲うではないか。

春眠暁を覚えずとは言え、睡眠時間が毎日のべ10時間にも達するのに朝起きても一向に疲れが取れた感じがしない、朝起きるのが辛いと感じるのは、鼻づまりで睡眠時は自然と口呼吸になるが、鼻呼吸ほど十分な酸素が取り込めないので寝つきが浅くなってしまい、それが慢性的な睡眠不足を招いているからだとネット様は言っていた。

うー、生活に支障が出てきているレベルやんけ。。。
日本のサラリーマンをマジで尊敬する。

ん?ロックダウン中であんたなんかほとんど外出てないのにそんなにひどいのだって?

そうや。その通りや。
たった数十分自転車こいでスーパーに行っただけで、たった数分、掃除機かけてる間に換気しただけでもこの有り様ですわ。

何やら日本ではアレルギー症状緩和のための画期的な皮下注射治療が今年から病院で受けられるようになったようで、保険適用ともあって、帰国したらこれを試さない手はないと早くも乗り気である。

そんな私だが、一度だけ安心して外を散歩できた時があった。
雨上がりの直後である。

オランダではここ最近、びっくりするほど晴天続きで雨なんてご無沙汰だったのだが、一昨日の夕方、ついに何週間ぶりかに雨が降った。
それも大粒の雨が地面に斜めに叩きつけるように激しく降ったので、お隣さんの庭にはえている桜も今となっては、ついにただの木になってしまった。

けれど、雨は悪いことばかりではない。
空中に浮遊している花粉もPM2.5も何かも地面に叩き落とされるので、実は雨上がりの空気はとても澄んでいるのだ。

しかも、あれだけ曇っていた空からすでに晴れ間がさしている。
外がいい感じに光を帯びてきた。
よし。いまだ。

外にとびだした。
やはり、いつもなら、ものの数分でこみ上げてくる鼻のムズムズ感は微塵も感じない。

目だってちっとも痒くない。

花粉がない世界って、なんてこんなに素晴らしいのだろう。

しっとりと潤った庭先の草花、雨上がりに立ち込めるアスファルト…じゃなくてここはヨーロッパだから石畳の匂い、通りにはまだ誰もいない感染の心配もない平和な世界…

何かとても素晴らしい瞬間に立ち会えた感じがして、幸せな気持ちになった。

自分の置かれている状況を考えると気が重いが、家に帰る足取りは軽かった。



余談だが、この日、道端で人懐っこいネコに遭遇した。
怯えずにむしろこっちへ自ら寄ってきてパンツの裾にすりすり。
この後、しばらく私の後をつけてきたが、最後に振り向いた時にはいつのまにかいなくなっていた。