先週、更新後のパスポートの受け取りのために、ハーグの在オランダ日本国大使館まで行ってきた。

何がうれしくてこの状況で電車に乗って遠くまで行かなあかんねやろか(我が家マイカーもないし)。

 

でも取りに行くしかないのだ。

 

なぜなら、私が住んでいるオランダは、国からの厳しい自宅待機措置がくだっているにも関わらず、陽性患者数の増加に歯止めがかからず、このままではいつイタリアのようにいつロックダウンするかわからない。

そうなったらさすがに我々日本人は引き揚げになるだろうが、手元にパスポートがないと出国もできない。

 

オーマイガー!!!

 

更新中は古いパスポート預かります制度、これを機にやめたらええんとちゃうかな。

もしくは新しいのが手元に渡るまで、もれなく全員に仮のパスポートを発行するとかさ。

 

タイミングが悪いとはまさにこのことである。

 

まだコロナが中国と韓国と日本のダイヤモンド・プリンセス号だけの話だったときに更新をかけたのがいけなかった。

コロナを「他人事」と甘く見ていたのだ。

 

新しいパスポートが出来上がるまでに1週間はかかる。

この1週間が明暗を分けた。

さあ取りに行くぞ!いうときには残念ながらオランダが非常事態になっていたという流れである。


今さら後悔しても仕方がないので対策を万全にしつつ、その日私は戦々恐々、来た電車に乗り込んだ。

さすがに平日の昼間はガラガラである。

 

これならこのご時世、行くところがなくて連日大賑わいと噂の生活雑貨店「アクション」のほうがどう見ても危険である。

 

発車するまでのしばらくの間、駅の清掃員が扉の開閉ボタンを拭きあげていた。

アルコールスプレーらしきものは一切所持しておらず、使い捨てでもなんでもない普通の雑巾でくるりと拭いては次のボタンへ、同じ雑巾で拭いてはまた次のボタンへ。

 

・・・それ、意味ないんですけど。むしろウイルス擦り付けて拡散してるんですけど

 

またタイミング悪いことに、このところオランダで勢力を増しているハンノキ・カバノキの花粉のせいでくしゃみが止まらない。

ヨーロッパ人はこの期に及んでも断固としてマスクをしない人々なので、私もうかつに使用できず、その結果、この時期に紛らわしいくしゃみ・鼻水となって表れるのである。

 

はい、色々最悪。

 

そんなモードのまま電車に揺られること1時間、無事にハーグセントラル駅には着いた。

が、どのプラットフォームからも電光掲示板の明かりが消え、大使館近くまで行くトラムもすべて運行を中止していた。

 

・・・まじかよ。

 

グーグルマップ先生いわく、大幅な縮小運転のせいで大使館に行くにはどうやら一つ手前の駅である「ハーグHS」とかいう駅で下車して、そこから出てるトラムかバスに乗らなあかんかったらしい。

 

だからといってそう何度も公共交通機関に乗るのは願い下げなので、セントラル駅から徒歩で片道40分。

オープンエアだからむしろ安全やろと寒空の中、大使館を目指すことにした。

普段住んでいるのは南部のアイントホーフェンだが、ハーグはそれに比べると北に位置しているせいか、春の到来を告げるスイセンやモクレンたちが元気に咲くこの時期のアイントホーフェンに比べて、ハーグの春はまだ遠いようだった。

 

どこもかしこも閑古鳥が鳴いてる。。。

 

寒い気温に手をかじかませながらやっと大使館についた。

 

こうしてめでたく受け取ったパスポートは、葛飾北斎の東海道五十三次をあしらった新デザインへと生まれ変わっていた。

なんでもつい最近、2020年2月発行のものから切り替わったらしい。


これぞ日本!

我が国の誇りと威厳を感じさせる頼もしい旅券である。

 

すべてのページに違う絵がプリントされているところもおしゃれだ。

しかも「発行官庁」の欄も“Embassy of Japan in the Netherlands”になっている。

 

ちょっとだけ、大変な思いをしても取りにいってよかったと張り詰めた気持ちがほころんだ。

 

 

<本日の一枚>

どんより曇り空のハーグとは対照的に、アイントホーフェンはここのところいい天気が続いている。

昼は青空が、夕刻には美しい夕焼けが見れた日があった。

 

自宅にとどまって頑張ってる人にご褒美かな。