3月22日、日曜日のよく晴れたオランダ。

朝、とびきりの快晴が窓越しに飛び込んできて目が覚めた。

こんなに清々しい日はいつぶりだろうか。

 

ふと携帯を見ると、画面になにやらオランダ語で緊急アラートが。

「オランダ全土に非常事態宣言。他人とちゃんと1.5mのディスタンスを取ってるか?お前らマジで不要不急の外出すんなし。家でおとなしくしとれ」的内容だと理解した。

 

こちらに住んで2年近くともなると、オランダ語を習ってなくてもなんとなく単語の並びから、だいたいの意味が分かるようにはなる。

昔からお勉強ができたわけではないが、人の適応能力というのはすごいものである。

 

そういえば最近、好天が続き、日向ぼっこが大好きなヨーロピアンたちがコロナごときで家にとどまっているわけもなく、政府の言うことも気かずに外に出る人が多数出てきて、自然公園や(今は非会員でも入れるので)全国の業務スーパーに人が群がるといった現象が各地で起きていたところだ。

 

そら学校休みにしても、リモートワークに切り替えても、レストランが休業しても、患者数は膨れ上がる一方だろうよ。

全部しまってるのにディズニーランドとUSJが開いてるようなものだもの。

 

かくいう私も、オープンエアで人の間隔が空く場所ならええやろと外出したりしていたので、少し反省した。

 

でもな、正直、もらったら直ちに死ぬようなぐらい危険なウイルスではないやんコロナって。
ってことは、「え、じゃあ別にそこまで気を付けなくてもいいんじゃないの?大げさだよ。天気もいいし、家の中になんかずっといてらんない!外出よ~っと」

って考え簡単に芽生えてしまうやん?
私のような医学知識が平凡な一般ピープルなんかは特に。

そのくせ、感染力は強いから困る。
しゃべるだけで簡単に他人からもらっちゃう恐れがあるし、他人にうつす恐れもある。
そして老人や疾患を抱えた人じゃなければそんなに重症化しないとはいいながら、無視はできないほどの致死率の高さもある。

えーい!!コロナっ、てめえ、何でもかんでも中途半端やねん!!!

感染したら即死ぬこと決定!ぐらいのウイルだったら、いくら呑気なヨーロッパ人でも不要な外出なんかせーへんわ。
フランスみたいに、不要に出歩いたら罰金やぞなんて言われんでも、家にこもって耐え忍ぶ道をみんなとっくに選択してるわいな。


ある人は、「A:いうてインフルエンザみたいなもんやろ?死ぬときはみんな死んだから」
またある人は、「B:まあ、手洗いうがいはちゃんとやって、全く外でないっていうのも息が詰まるし、散歩するぐらいはいいんとちゃうかなあ~、人との約束もまあ1人ぐらいに会うのはええやろ」
それから、「C:スーパーにもいかずに家に閉じこもる!外から持ち帰ってきたものはアルコール消毒を徹底的にやる!誰ともかかわらず篭城だ!」

私の周りでは、医療機関で働いたことがある人や科学リテラシーの高い人は「C」の選択を取る人が圧倒的に多くて、駐在の人や現地の日本人はだいたい「B」で、オランダ人が「A」かな笑。

 

それも、こんな中途半端なウイルスだからこそ、個人間の解釈にこんなに差が出てしまうんとちゃうか。

それがこのウイルスの一番厄介なところだと私はみた。

 

 

ちなみに、これを書いているときのオランダの陽性患者数は、4,204人である。

もう病床と設備がとっくに足りてへんのとちゃうか大丈夫かオランダ。

 

元々、オランダの医療システムは、患者をろくに診察せずにさっさと家に帰してしまうのが当たり前であった。

本当にやばい一握りの患者のためにだけベッドがあればいいって考えで回していただろうから、先進国なのでいい設備は持っているかもしれないけど、数をもっているかと言われると答えはNoだろう。

 

・・・やっかいだぞコロナ。

 

こんな医療が崩壊しかかった頼りない国でもし感染でもしたら?

オランダにいる元看護士の友人が、オランダ語もわからない外国人の我々は、オランダ社会から見たら診察を後回しにされかねない弱者だと言っていたのを思い出す。

 

適切なケアを受けられず、地獄の苦しみに悶えながら遠くオランダの地で祖国の日本に思いを馳せ、こころざし半ばでこの世を去る・・・なんて最悪のシナリオだ。

 

仕事とか、なんだかの理由でオランダに滞在している人からすれば、最もいいのは、「オランダにいるが感染しない」だけど、

次にいいのは、「オランダが危ないからいうて引き上げてきて日本でも感染しない」で、

良くないけどまだマシなのは、「日本で感染しちゃった」で、

最悪なのは・・・「オランダで感染する」ことだと思っている。

 

どうせ感染するなら日本で感染したいわ。

医療崩壊してないし、まだ手厚い治療が受けられるという意味でな。

 

このように、オランダで感染するのは在留邦人にとって一番最悪の事態なのに、

日本にいたら当たり前に手に入る必要な情報が(日本のTV各局では、専門家を呼んで連日のようにコロナに関するデータや知識に基づいた予防策が放送されている)、こっちは言葉の壁で一向に入ってこないから、

医学リテラシー低めの私のような一般人にはそのヤバさがいまいちピンと来ないまま、「なんかしらんけどやばいみたい~」ぐらいの危機感で過ごすことになり、

その結果、上記の「B」の選択になってしまうっていうのはよくわかる。

 

だってウイルスを甘く見てはいけないことが腹の底からわかってる人々は、オランダ政府が休校だのレストラン閉鎖だの言いだすとっくの昔から自ら「C」を選択してるもん。

 

・・・やっかいだぞコロナ。

 

人の気のゆるみが引き起こした、いわば人災的な部分もあったと思う今回の欧州でのコロナ事情であった。

 

 

<本日の一枚>

友人がくれたアルファベットチョコ。

シンタクラースの時期によく出回るものなのだが、開封するとどうも様子がおかしい。

 

私にはどう見てもアルファベットの「J(ジェイ)」にしかみえないが、オランダ人がこれを「A」というのなら、そういう世界もあるのだろう。