​練習の仕方とメンタル

2024年7月5日


本日は11名の生徒様とレッスン。

ぎゅーっとレッスンが詰まっております。


昨日はレッスンを終えて、空いていた最終の時間、帰る前に30分、ピアノに座りました。


全員のレッスンが終わった後に、帰る前に少し時間に余裕があると、電気をピアノのところだけ残して、練習するのがまた良いのです。

発表会が近づくと、本番練習のために、録音もしつつ、こういうシーンを作って弾くこともしているくらい。

暗譜完了まであと一踏ん張り!!

と自分に言い聞かせながら、覚えられない動きにウズウズしながら、向き合っています。


一昨日、だいしほくえつホールより、催事告知のために当教室の発表会の開催内容の確認連絡があり、合わせて、当教室からお配りするチラシの内容をご確認いただきました。


直しが一点入り、最終確認段階。

あとは、ご出演者数が確定してから公演時間を直して、今年は、外注で印刷をかけます。

それでもやっぱりデザインまでは、自分の手で拘りたい想いは変わりません。


一つ一つ準備を進めては気持ちを引き締めております。

そして生徒の皆様の頑張る姿や一歩一歩進んでゆく姿を見て刺激とパワーをいただいています。


ご出演お申し込みの締切まで2週間となりました。


もしかしたらまだご出演を検討中の生徒様もいらっしゃるかもしれません。


ある生徒様から、兼ねてより練習中の曲が「一通りちゃんと弾けるようになったら発表会に出てみようかな。」

と話しておられたのですが、

「昨日、演奏を録音してみると、途中でつっかかって次に進めなくなって・・。

やっぱり今回も発表会やめとこうかな、と。


とお話しがありました。


毎日一生懸命に練習をされている方です。

私からも多くの感心を抱くお一人。


レッスンで学んだこと、気づいたこと、しっかり練習に生かしてくださり、次のレッスンでお会いすると着実に進歩を遂げています。


では、なぜそんなに本番や“一度きりの演奏”となった時に、納得いく演奏が出来ないのか。


練習の仕方を考えること

本番の集中力の持ち方と思考を整えること


この2つが大切に思います。


私はピアノを続けてきたこの32年間、子供の頃から数えて発表会やコンクールといったいわゆる本番にて真っ白になって止まってしまい、どうにもこうにもその箇所から抜け出せずに大きくページをすっ飛ばして弾いた経験が4回あります。


その最後の4回目は大学2年生のとき、実技確認試験の時。


どの本番も、もちろん暗譜でした。


大学生のときに、真っ白になってしまったのが当時で数年ぶり。

もう冷や汗どころの話ではなく、挫折に近い想いでした。

心も下向きになりながら、当時お世話になっていた教授のもとへ、試験直後、演奏の講評を聞きに伺いました。

本当は行きたくなかったけれど、この行動が受け継がれる学生のマナーのようなしきたりでしたので。


「はい、梨本さんね、どうしてあぁなったか分かる?」


と(その瞬間は恐ろしい口調に思えた)恩師からの一言。


​はい・・・・
練習が足りなかった、んだと思います。

 
サムネイル

咄嗟に出たのは、本音は“あんなに練習したのに…”

だったはずが、練習不足と自分へ言い聞かせる形で口にしていました。


「そうじゃないでしょう。練習はあなたのことだから真面目にしてたでしょうに。

あのね、練習の仕方が悪いんだよ。」


練習の仕方。



それが私の大きな本番へ向けた練習の意識を変えるきっかけでした。


日々の練習を振り返ってみます。


まずピアノに座る。

そしてバーンと毎回の練習で最初に通してみる。


つっかえたところ、苦手なところを取り出して部分練習をする。


その繰り返しで練習、それでも多くの時間を費やしていました。

たくさん練習した、という自覚と自信はあったはず。


高校生まで習っていた恩師がよく、「本番に強くなるために、もっと人前で弾かなくちゃね!」と、何度も、人のいる空間で演奏する場を設けてくださったことも思い出しました。


ギャラリーを設けた練習。


そうして普段の練習は、単に緻密な練習が足りなかったこと。


どの小節からでも頭に浮かぶかどうか。


これは楽譜を見て弾く場合も一緒です。

それこそ、今ここを弾いている、と頭に浮かんでいるかどうか。


フレーズの始まりだけでなく、その途中も。


鍵盤の前に座っていなくても楽譜の小節、段の変わり目が浮かぶかどうか。


特に真っ白になるのは左手なので、左手こそ、どんな形でどんな指使いで、楽譜もしっかり頭に浮かぶかどうか。


昨日の生徒様にまず一番強く伝えたのは、緻密な練習。


1小節ずつ、
どの小節からでも弾けるように
練習してみてください。


生徒様の返答は、


「いつも最初からしか弾いていなかった。」



まさにそれ、です。



その日その日、ピアノに座った瞬間にどんな小節からでも良いので取り出して弾いてみる。

毎日通して弾くが当たり前になると、たとえ1人で録音であっても、その瞬間に運良く成功して弾けることだけを切に願って演奏と向き合うばかりになってしまいます。

そう、毎日の練習で最初に通して弾いていることがどこか運試しに近い感覚で弾いているだけなのです。



普段から細かな練習をして、通して弾くことに対して自信をつけないと、です。


特に、楽譜を置いているのに途中でつっかえてしまうとそこから弾き直せなくなるケース。

そういうケースに陥りやすい方ほど、普段から楽譜を見て弾いていないことが原因にあります。

ということは、楽譜で今どこを弾いているかが頭の片隅にない状態ということ。


練習の仕方を考えると、それが本番までのメンタルに繋がるということ。



あんなに毎日たくさん練習したんだから大丈夫!!


と言い聞かせるよりも、


あんなに緻密な練習をしたんだから、うん、大丈夫!!


と言い聞かせられる方が自信に繋がります。


そしてその感情に浸るために、定期的に本番さながらのシーンを作ってリハーサルをしておくことも。



毎日何時間ってピアノに座っていたのに、起こってしまった本番の挫折と気付かされた練習の仕方の悪さを痛感した大学時代。


今の方がその何分の1の練習時間で、練習の仕方を見つめて練習を積み重ねられているので、本番への自信の持ち方も変わったこと。

それをこんなに年月がかかって身につけた私だからこそ、皆様に強く伝えたいところでもあります。


それでも発表会は失敗も含めて何度も経験することが大事。

経験しないとわからないから。


そんなふうに昨日の生徒様へも想いを届けたいです。

さて、ご出演へ気持ちを傾けてくださるかどうか・・・⭐︎




それでは今日も素晴らしいレッスンライフとなりますように!