​楽譜を眺めて理解して記憶する

2024年5月5日


今日は半袖日和の新潟市。

とにかくお天気に恵まれた5月の始まり。


空気の澄んだ朝早くに外へ出ると、通りに咲いているツツジの香りにふんわり包まれる感覚が心地良いです。



明日は連休の振替で教室を開けます。


皆様、ピアノは弾いていますでしょうか?


私は今週より暗譜を意識した練習を始めたわけですが、なにせ苦手な暗譜。


子供の頃は、そんなことなく、気づいたら覚えられていた…そんな気がします。


忘れもしません・・・

小学5年生のときの発表会。

モーツァルトのピアノソナタK.332の第3楽章。


人生で初めて、本番に暗譜が飛んだこと。

曲の中盤か終盤。



それがとにかく怖い思い出として刻まれたこと。


もはやモーツァルトにもトラウマになってしまったかのように、その後中学生の時、コンクールの予選にて、再びモーツァルトのピアノソナタ、今度はK.333の第1楽章。

本番に飛んでしまいました。


何度も何度も弾き直してパニック。


その辺りから《本番に弱い》…という自分で決めつけた感覚がありました。


あんなに練習したのに。。


そういう自覚はあったのですよね。

自分なりにいつも以上にピアノに座って向き合ったこと。


そこから大学に入り、しばらく暗譜と本番に少し慣れていったと思っていたところ・・(それは練習量がはるかに増えたのだから、と思っていたのかもしれません・・・)

大学2年生の時の試験にて、

曲はブラームスのラプソディ第1番。


1番大好きだった中間部分の箇所でまさかの真っ白。


またしても弾き直しては一向に出てこない左手の伴奏に、冷や汗・・思い切って1ページ飛ばしました…汗


試験の後、「合わせる顔もないな…」と青ざめた表情で、レッスンでお世話になっていた先生のところへ伺うと、


​たくさん練習したんでしょうに。
キミは練習の仕方が悪かったんだよ。


と。


練習の仕方。。。考えながらも、答えを出せぬまま、

私は大学3年生からは在学中にしかできない体験をしたい、と2台ピアノを研究課題にして、専らアンサンブルライフとなり、暗譜に無縁となりました。

伴奏やアンサンブルは、楽譜をおいて弾くことが常だったので。


さて、そんな私が暗譜や本番についての心得を見つめ直したのは、当教室を開いて発表会をやるようになってから。


当時読んでいたピアニスト仲道郁代さんの自伝。


​中学生の時に出たコンクール
本番に暗譜が飛びました。
それが私にとって最初の挫折でした。

と綴ってありました。


そんな仲道さんはその後たくさんのメンタルトレーニングの本を読み漁っていたとのこと。


本番に弱いとはあるのか、

成功への道は、本番の経験数なのか、

持って生まれた性質も影響するのか、


私もこれまでいくつかの書物を読みながら共通していることがあります。


それはやっぱり練習の仕方だったこと。


練習の仕方があって、その先に本番へ向き合う時の精神面や行動があるわけですが、

今日は練習の仕方についてだけお伝えします。


今読み終わろうとしているところのこちらの本


にも、書いてありました。


暗譜をする上での5つの記憶。


身体的記憶、認知的記憶、構造記憶、内容・構成記憶

、感情記憶。


・何度も何度も弾いて覚えさせること。

・音名や、音程で理解して覚えること。

・区切りや曲の途中、移り変わりの地点を理解して覚えること。

・リズムやハーモニー、旋律の流れ、その要素を言葉で理解して覚えること。

・そして、音楽から受けたイメージや感情で記憶すること。


私は恐らく、子供の頃から大学2年生まで、身体的記憶一つだけで、暗譜をしていました。

はっきりそう言えます。


弾いているうちに覚えた。


教室の発表会をやり始めた時から、私が意を決して再開した暗譜。


認知的記憶は初見が得意な私には酷でした。


譜読みをしながら、音名でインプットしている感覚がなかったのです。

なので、できる限りは意識をしてみましたが、その他の構造や内容、構成の記憶を心がけてきました。


ここのメロディは次と1音ずつ変わる、ハーモニーが展開しているだけで同じ構成音・・などなど。


そして部分部分、どこからでも弾けるようにすること。


そして今回、書に綴ってあって、なるほど、と思ったのは、視覚的記憶。


楽譜を読み込み、理解すること。

音の長さや楽譜に書かれているスラー、スタッカート、フレーズの区切り、などなど。

そして弾き方をイメージする。


そこからやっと実際に弾いてみること。



そうそう、暗譜練習の時、ふとした時、運転中でも、楽譜の景色が事細かに頭に浮かぶかな?と考えることがあります。


すると、浮かぶところもあれば、怪しいところもあり。

それはまだまだ完全に頭と手に入り込んでいるとは言わないんだな、と自分に言い聞かせます。


楽譜を眺めることも、大切な練習になること。

今弾けないな、という状況の時にはもってこいな練習でもあります。


中学生の時のコンクール前、そして大学時代…

今の私よりもはるかにピアノに座っていただろうその時に、掴みきれていなかった暗譜との向き合い方。


初見が得意なだけに陥ってしまった暗譜の怖さです。


それでも今だに怖い暗譜。


だけれど、暗譜をした方が、ピアノの音色にもっと耳を傾けられます。

自分のイメージを膨らますことができます。


楽譜がある方が、ミスをすることにナーバスになります。


カンペを見ながらスピーチしている時の方がカミカミになるのと似たような感じで。


10代から20歳にかけて味わった暗譜の怖さと本番への自信喪失。


それでも自分で考えて学んで克服してみました。


こうして当教室を偶然にも開くきっかけが私の人生に訪れたからこそ味わえた試練と学びと達成、充実です。


まだまだ始まったばかりの今年の暗譜練習。

道のりは長そうですが、私にとって深く想いを抱いて挑むベートーヴェンです。


明日からのレッスンライフで、再びじっくりと向き合いたいと思います。


今日も素敵なピアノライフを!




✴︎先月から5月1日までに開催してまいりました弾き合い会の様子、ホームページに掲載いたしました♬