クラッチ周りの作業が終わりまして、次に足回りの作業に入ります。

まずハブ、ハブベアリングの交換。

しかし今回はイレギュラーにより、ナックルを程度の良い中古品へと交換しなければいけなくなりました。



と言うのも画像のようにドライブシャフトがサビによる固着によってハブから外れない…





通常は固着している場合、ドライブシャフトを損傷させないようにナットを噛ませて慎重に外していきます。しかしあまりに外れないため今回に限り火で炙り、大ハンマーでガンガン叩く作業に。

にもかかわらず、外れずこんな状態…

ここまで外れないのは今までなかなかありませんでしたが、車の老朽化により今後さらに増えていくことが考えられます。

一度もバラしたことのない車両は、なるべく早いうちに一度チェックしておくべき箇所です。

出ないと余計な出費と時間がかかってしまいますので…



バラして洗浄。バックプレートは超音波洗浄、ナックルはサンドブラスト後にサビ止め塗装。ロアーボールジョイントもグリス入れ替えてブーツ交換。

新品ハブも裏側をサビ止めの耐熱塗装。









組み付けして車両へ取り付け。



ローターとの当たり面はサビ止めでモリブデンスプレー。

ここ結構サビやすいのですが、サビてローターの固着や振れにも繋がるのでブレーキ周りを点検する時にはチェックオススメです。

塗膜が厚すぎるとそれが原因でローターの嵌合が甘くなってしまい振れてしまうので、モリブデンスプレーを使います。





ダンパーはレーシングギア。

今後のメンテナンスで管理するための日付と距離数を残しておきます。


合わせてタイロッドエンドも新品へ交換。

ロックナットも若干舐めてしまっていたので交換。

こういうところをまめに交換しておかないと、後で酷い目にあいますから…




そしてブレーキブリーダー。

ブレンボキャリパーのブリーダーは高確率でサビが酷いです。



サビているだけならまだしも、酷いと固着して緩みません。最悪キャリパーのネジ山を壊してしまうのでキャリパー自体使用不可になってしまいます。



新品と比較しても状態はかなり悪いのが分かります。

今回は全て交換出来たので良かったですが、これもドライブシャフト同様に早めの点検交換がオススメです。

ただキャリパー自体に痛みがあるようであれば、そもそもキャリパー交換してしまうのが安心です。純正キャリパーでサーキット走行を繰り返してきた車両では本体に歪みが出ている場合があるので、費用はかかりますが何より安心を買えるので気になる方は是非一度ご相談下さい。



次にパワステのホース類一式の交換です。

現状ホースの差し込み部からオイルが滲んでいる状態でした。

取り外したホースと新品ホース。







かなり亀裂が入っていますね。

ゴムとしての弾力は完全に失われプラスチック状態です。走行環境や保管環境によってもちろん違いはありますが、一度も交換したことがなければほぼ間違いなくこのような状態になっていると思います。


ダメになってから交換するのは修理、ダメになる前に交換するのが整備。


なるべく修理ではなく整備で乗り続けてもらいたいですね。



タンクは超音波洗浄機で洗浄。








外観はもちろんですが、中身をしっかり洗浄するのが大事。

中にフィルターがありますが、ここに汚れが溜まるとパワステの油圧が異常に上がる→ポンプ、ホースに負荷がかかる→ポンプ故障、フルード漏れる。につながります。

劣化の一言で片付けるのは簡単ですが、故障にはそれなりの原因があることを忘れてはいけません。

一度チェックされるのをオススメします。


これで納車整備は終わり、仕上げのアライメントで完了です。

またダンパー交換時と同様に、今回作業した箇所にはなるべく目視しやすい場所へ履歴を残しておきます。




納車後も近場であればメンテナンスさせてもらえますが、遠方であれば他店でのメンテナンスになっていくと思います。

そこで履歴が分からなければ、オーナーにとっても他店にとってもいいことが何もありません。

少しでも無駄なくカーライフを楽しんで貰える手助けになれればと思います。新しくお車ご検討の方で遠方の方も是非一度ご相談下さい。


新しい場所で長く大事に乗り続けてもらえることを思って今回も納車整備させて頂きました。

この度はお車のご購入ありがとうございました。



ではまた。