日の出がずいぶんと遅くなり

それに伴って

気温の上がり方もゆるやかに。

 

朝夕は涼しくて

1か月前と比べると

まるで天国にいるかのような気分です。

 

人間という動物は25℃以上は

基本、NGな動物なのだろうなと

勝手に思っています。

 

暑い夏になるとやる気がでない...

という人も多いらしく

でもそれは当たり前のことのようです。

 

いまでこそ

暑さが命を奪うということは

世の常識になっていますが

昔はそんな知識は

世の中に浸透しているわけではなく

暑い時に頑張れる人は

暑さで命を落としてしまうことも

しばしばあったはず。

 

結局、今現在生きている人は

暑い時期に頑張らなかった人達の

末裔であって

暑い時期には頑張れない

素質を受け継いでいるという。

 

夏に頑張れないというのは

そういうカラクリも隠れているようです。

 

 

 

さてウォールナットの椅子づくりの続き。

 

 

 

 

 

ようやく座面が出来上がり。

組み立ては明日。

いつもよりかなりの時間がかかっています。

 

というのも

弊工房はサマータイム労働時間中。

 

暑くて動き辛いなら

いっそのこと

休んでしまおうということで

夏の間、身体を使う仕事時間を

半分くらいにしています。

 

夕方5時くらいになると

涼しい風が吹きはじめ

一転身体は息を吹き返します。

 

 

 
 
アトリエの庭は
どことなく秋めいた雰囲気になってきました。

 

 

今朝の外気温は21℃。

 

気象庁のデータを紐解いてみると

およそ2ヶ月半ぶりの冷ややかさ。

 

熱で疲れた肉体はこの涼しさを得て

一気にリフレッシュしていくのが

分かります。

 

とはいえまだ日中は残暑厳しく。

 

クマゼミはいなくなって

聞こえてくる蝉の声はまばらになって

少しずつ夏のにぎやかさは

過ぎ去りつつあります。

 

 

さて、仕事の方は

いつもの椅子とスツール作り。

今回は全てウォールナットで4脚。

 

 
 

 

今日は脚作りまで。

 

 

このウォールナット材ですが

年々入手しづらくなって

いつか使えなくなる日が来るのかも...

そんなことを考えながら

潤沢にある屋久島の杉で作ろうかと

あれこれと想いを巡らしています。

 

 

 

 

これはギャラリー入口の杉の椅子。

靴の履き替えに利用してもらうために

結構荒削りで作ったもの。

 

売り物では無いのですが

売って欲しいと言われることが

度々あって。

 

杉は柔らかいので

杉を椅子に使うのは無理と

思い込んでいたけれど

少し工夫すれば

いけるかもしれないと思いたち、

この秋くらいから

ちょっと試しに作ってみようと

企んでいます。

 

 

ようやくからっと晴れて

台風一過という感じ。

 

暑いながらも

どこか秋めいた空気を感じて

夏のフェーズが少し変わったよう。

 

それにしても毎度ながら

やってくる台風には翻弄されます。

 

台風を恐ろしいと感じるようになったのは

屋久島に来てから。

 

かつては台風はなぜだか

ワクワクするものという存在で

子供の頃に台風が接近した時には

窓に張り付いて眺めるのが常でした。

ただただ猛烈に吹きすさぶ

風のエネルギーの凄さに

感動していたのかもしれません。

 

 

やはり屋久島の台風は

本土で経験するそれとは違います。

 

前後左右上下

全方向から吹きすさぶ風と

全方向から打ち付ける雨。


そしてそれが長時間。

 

圧倒的な自然のエネルギーに

小手先のことは通用しないような

そんな気にもなってきます。

 

ある種の諦念の境地に達します。

 


昔は今のように

頑丈な建物も無かったと思います。

台風の被害も相当なものだったと

想像出来ます。


山の中で暮らしていて思うのですが

自然とは共存して生きるもの。

持ちつ持たれつのような関係性でもあって

自然と畏敬の念のようなものが

生まれてくるような気がします。


そしてそのうち

木々や草花、土、岩、山、川など

あらゆる存在の内にある

スピリットのようなものを感じて

それに繋がっていくような感覚が

芽生えてくるのも必然なんだろうとも

感じています。


そして台風にも

それはあるんだろうとも思います。



きれいに片付けたアトリエの庭。


 ※-


今回は停電が結構長かった。


停電は致し方ないけれど

今回は新たなテクノロジー、

充電式のポータブル電源の導入と

発電機のダブル使いで

結構快適な停電生活となりました。

 

ポータブル電源ひとつで

冷凍庫と冷蔵庫両方稼働できて

ストックしていた食材が融けることなく

停電復旧となりました。


都会では発電機は

使いにくいと思いますので

ポーダブル電源は

いざという時におすすめです。

 

「家を建ててもらえませんか?」

と先日かかってきたTEL。

 

数年に1回くらい

こんなご依頼があります。

 

アトリエとギャラリーを

セルフビルドしたので

大工もできると思われてのご依頼の様子。

 

大工仕事に関しては

全くの素人なので

丁重にお断りしたのですが

よくよく考えてみると

本当にありがたいこと。

 

『家建てます!』と

宣伝しているわけでもないのに

ご依頼いただいたわけで

 

大工の技術や知識を

少しでも学んでおけばよかったなあと

思ったりもします。

 

とはいえ

身体ひとつなので

あれもこれも出来ないのが現実で

 

本当のところ

自分は何がやりたいのか?

 

やはりこれに尽きるなあと思います。

 

 

人生100年あるとして

日数に変換するおよそ36,500日。

 

日数に変換すると

やけに命のリアリティーを感じます。

 

長いと思うか短いと思うか。

 

どちらにしても

日々、命を削って

生きていることに間違いなく

そんなことを考えていると

急に人間としての欲が出てきて

 

もっと地球人生を味わい尽くしたい

という気にもなってきます。

本当にやりたいことをして

生きていきたいと思えてきます。

 

 

さて、本日の仕事。

 

屋久杉のカッティングボード作りの前に

カトラリー作り。

 


売り切れた

ジャムスプーン、

小スプーンと小フォーク

計15本。

 

一度に作るのはこれくらいが

飽きもせず、ちょうど良い感じ。


ですが

こんな作り方では

商売にはなりません...


とは言うものの

命の残り日数を考えた場合、

もうそろそろ

商売モードから卒業したいというのも

心のどこかに潜んでいます。

 

ではまた。


水を得た大地は瞬時に生き返り

一日で草丈がくるぶしを超えてきました。

 

そういえばこの夏

草刈りを2回ほどしかしていなかったと

気がついて

いかに不毛の大地と化していたのかが

よくわかります。




 

屋久島においては

待っていれば必ず雨は降るもの。

 

時に降りすぎの感は否めませんが

生命のみなもととなっていることは

間違いありません。

 

 

 

オーバルトレイの塗装を終えて

ギャラリーで休憩。




 

狭いギャラリーゆえ

良く冷えます。

 

 



 



 

ようやくいつもの屋久島に戻った感じ。

 

昨晩からの雷雨。

 

カラカラだった大地は

潤沢に水を得て

生き返ったようにも見えます。

 

人間は勝手なもので

雨ばかりでうんざり、

晴れ続きでもうんざり。

 

いかにバランスが大事かということを

思い知らされます。

 

 

 

さて、仕事の方は

ひさびさのオーバルトレイ作り。

 

5、6年前に作ったきりで

ひさびさの出番。

 

どう作ろうかと

さんざん頭の中巡らせて(ほぼ丸一日)

ようやくゴーサイン。

 

やはり仕事でもあるので

効率の面も無視できず

効率よく作っていく流れや

デザインのディテールを

事前に煮詰めていく作業も必要なのです。

 

今回は20枚ほど。

 



 

表面はツルツルに仕上げずに

全てノミ彫り模様とします。

 

 



 

 

 

 

核戦争が起こったらどうする?と

子供同士で話した時代もありました。

 

核シェルターがどうのこうの

死の灰がどうのこうの...なんて

小学生低学年同士で

話していたのを思い出します。

 

私は1969年生まれ。

ということは戦後24年目。

 

24年前なんてほんのちょっと前の感覚。

だから自分の子供の頃は

まだ少しは戦争の名残が

残っていたのかもしれません。

 

それから

あっという間にバブル景気を経て

失われた30年に突入します。

 

その間

世界のどこかでは

絶えず争いが起きていて

いまだに何故繰り返されるのか理解できず

不思議な感覚に襲われます。

 

 

我が家での会話は

どうすれば世の中が良くなるのか、

食糧問題

貧困問題

戦争のこと

ほとんど

そんな話題ばかり。

 

戦争のことに関しては

結局のところ争いを仕掛ける側の

気持ちが分からないので

なかなかこれという結論に

達しないのが現状なのですが。

 

 

あくまでも個人的な見解ですが

人間が持っている所有欲、

所有の概念が

いろんな争いのもとに

なっているのではないか…

最近はそんな気がしています。

 

男女間でも

親子間でも

国家間でも。

 

私の彼

僕の妻

私の子供

我が国の領土...etc

 

人でも

物でも

土地でも

自分が所有しているという観念。

自分が所有したいという欲望。

 

自分の所有物だからこそ

湧き起こる感情や執着。

 

そんなところに

争いの原因のひとつが

あるのかもしれない

なんて感じています。

 

考え出したら

まだまだ出てくるのですが

書き出したら止まらないので

この辺にしておきます。

 

どうやったら争いを避けられるのか

ひとつだけ言えるとすれば

まずは自分自身が

平和・平穏であるようになること。

 

そういう人が増えてくれば

平和の連鎖が始まると思いたいのです。

 

終戦の日に少し考えてみました。

 

 

 

それで仕事の方ですが

ひさびさのフォーク作り。

ブラックウォールナットで10本ほど。

 

 
 

 

作るたびに少しずつ進化していて

今回はいつもより細身の

シルエットになりました。

 

 

 

 

それでも時代は

所有からシェア、共有へと

今現代の社会では

少しずつでも変化はしていて

 

奪い合うのではなく

それぞれが

持つもの・持たないものを補い合って

過不足なくシェア出来る時代が

ひょっとしたら来るのか...?

 

凄い時間はかかるのかもしれないけれど。

 

 

 

オリンピックが終わりました。

 

一部のスポーツを除いては

ほとんどの競技スポーツに

興味がない私は

アスリートの方や

そして応援される方に

あれだけ情熱を傾けることが出来たり

夢中で応援出来たりすることに

少し驚きさえも感じています。

 

あまりにも

競技スポーツに対して冷めているので

人間という生き物が持つはずの

何か大事なものが

自分の中から欠落している?

と感じてしまうほど。

 

それはそうと

 

世界の頂点を極めるまで

突き進めるアスリートの方々には

自分には無い、超人的な凄みを感じて

ただただ凄いなあと感心するばかりです。

 

木工の世界は

スポーツの世界のように

競うようなものではないけれど

それでも

だれかが作った凄い作品を見たりすると

自分の作品が色あせて見えてきて

自信を無くしてしまったり、

他人の才能に嫉妬したことも

過去にはありました。

 

 

もの作りというものは

自分が作ろうとしている物へは

自分の内側にあるものしか投影出来ず、

どんなに背伸びをしても

現時点の自分の

ありのままでしかありません。

 

それが現時点での

自分の持ち味であり

唯一無二のもので

他と比べるべきものではなくて

 

結局

他人と競争、比較するのではなく

5年前の自分、

1年前の自分、

昨日の自分より

今日の自分はどれくらい

洗練されたのだろうか

進化したのだろうかということに尽きます。

 

競う相手は

結局は自分自身なのでした。

 

 

さて仕事の方。

 

半年ほど在庫を切らしていたスプーン作り。

 

持ち手が細身で緩やかにカーブした

シルエットのスプーン。

 

少し大げさなのですが

屋久島の一切の濁りのない清流を

流れていくようなイメージから

カタチが浮かび上がって出来上がりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

アトリエの庭では

メジロがあっちこっちの枝に

行ったり来たり。

 

出来れば何もせず

ずーっと眺めていたいけれど

そういうわけにもいきません。

 

 

 

 

 

 

 

今日も暑くて

アトリエ内の室温は35℃くらいまで上昇。

 

扇風機は回しているけれど

頭はボーっとしてきて

これは危険と

午後3時のタイミングで

冷房に当たりながら横になっていたら

気持ちよくなって午後5時まで熟睡。

 

やはり身体は

知らない間に結構疲れているようです。

 

暑い環境の過酷さが

身に染みるけれど

まだまだ夏は続きます。

 

ここは十分に身体を

甘やかしていこうと思います。

 

 

さて

今日の仕事はピザカッター作り。

 

昨日、在庫分売れ切れてしまい

急遽の制作です。

 

結構人気のアイテムで

弊工房の隠れたベストセラー。

 

木工を始めたころに

浮かんできたデザインで

それ以来作り続けています。

 

使用材はホワイトオーク。

 

その柾目材はこんな感じで模様が入ります。

 

 

 

 

虎の模様のようにも見えます。

 

これを虎斑(とらふ)といいます。

 

 

木工を始めた当初、

この面白い木目を

目の当たりにした時に

頭の中で鳥の羽と虎斑がシンクロ、

その瞬間にカタチが

浮かんできたように記憶しています。

 

その虎斑を鳥の羽根に見立てると

面白いのです。

 

 

 
形は出来上がったけれど
昼寝しすぎて今日中に塗装が間に合わず。
 
塗装していないので
木目がはっきりと見えません。
 
塗装はまた明日。
 
 
 

 

 

もの作りを依頼されたり

相談されたりすると

何でも簡単に・一瞬に

出来上がると思いがちで

(謎の自信)

なぜそんなに簡単に出来上がると

思ってしまうのか

自分でも不思議なくらい。

 

そんな魔法のように

物というのは簡単に

生み出せるものではなく

こつこつとした地道な工程を

積み重ねながら出来上がっていくもの。

 

結局は現実を目の前にして

こんなはずではなかった…と

思い知る羽目になるのですが

 

さすがに最近では学習してきて

もの作りの地道な道のりを

前もってシミュレーション

出来るようになって

仕事の取捨選択もスムースになり

ずいぶんと落ち着いて

仕事に臨めるようになりました。

 

 

さて仕事の方。

今回はなかなか珍しいご依頼。

 

砂時計の試作。

高さ10㎝程度の小さなもの。

シンプルながら新しいデザインで。

 

円形の台座に三本脚という制約がある中で

美しいシルエットを模索していきます。

 

脚に使う棒は

仕上り寸法の細い部分を

6mmでデザインしてみました。

 

6mmの細さは削ったことは無いけれど

また例によって

簡単に出来ると思ってしまい、

 

削る準備をしながら

本当に上手く削れるのか?と

少しドキドキしながら削り始めます。

 

 

 

 

 

直径1㎝以下の細い棒を削り出していくのは

かなり繊細な作業なのですが

 

結果、問題なし。

 

サクサク削れていって削り終わると

ホッとして、そのあとは楽しさを感じます。

 

 

 

 
試作時間4時間で見積もって
試作のお代を頂戴していたのですが
あっという間に時間が過ぎて
結局丸1日費やしていました。
 
予算オーバーですが
楽しめたので良しとします。
 
 

 

こんなコモノ作りも

案外楽しいもので

椅子作りなどの合間に

こんな仕事が入ってくると

スパイス的な効果もあっていいものです。