黄金の疾風が、4コーナーを回り直線を向く…
「さあ拍手に迎えられてサイレンススズカ、先頭だ!」
*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆
5月30日は中京競馬場で金鯱賞が行われます。
昔は夏の中京開催最大のレースだった高松宮杯へのステップレースだったのですが
今は春のグランプリ・宝塚記念を目指す優駿たちのステップレースとして定着してきましたね。
何気なく金鯱賞のデータを眺めていて目が留まりました。
今年の金鯱賞…
それは1998年のレース以来11年振りに『5月30日に施行される』金鯱賞でした。
前回5月30日に開催された金鯱賞の勝馬は、日本競馬を変える可能性を秘めていた優駿…

『黄金の疾風』サイレンススズカです。
1998年5月30日中京競馬場、第34回金鯱賞…
あの歴史的な1戦を記憶されている競馬ファンは数多くいることでしょう。
当時、土日が仕事だった事もあり、趣味の競馬はたんぱラジオを手にイヤホーンで聴いておりました。
この日も客足を見ては足繁くショールームから離れた食堂兼会議室へと往来し
愛用のたんぱラジオに耳を傾けておりました。
たまたま客足も途絶えた15時過ぎ…
これ幸いと別室へ籠り、心置きなくこの日一番のお目当てのレースを迎える事が出来ました。
1998年5月30日、この日一番のお目当てだったレースは第34回金鯱賞でした…
この年、春の古馬長距離戦線は前年のクラシックでは遂に無冠で終わったメジロブライトが大躍進を遂げ
AJC杯、阪神大賞典、天皇賞・春と連勝し、主役に躍り出ていました。
また前年の天皇賞・秋を牝馬として17年ぶりに制したエアグルーブが健在で
大阪杯1着(鳴尾記念2着を挟む)から宝塚記念への中距離王道を邁進。
更に前年牝馬クラシック二冠を制したメジロドーベルなども虎視眈々と頂点を狙っておりました。
そんなビッグネームが出揃う宝塚記念に駒を進めるべく、この金鯱賞から始動する優駿たちがいました。
約7ヶ月ぶりに姿を見せたのは、前年4連勝で菊花賞を制したマチカネフクキタルと
3連勝でアルゼンチン共和国杯を制したタイキエルドラドでした。
3ヵ月半の間隔を空けてリフレッシュされた、目下5連勝中で京都金杯、京都記念と
重賞2勝を挙げた上がり馬ミッドナイトベットも名を連ねます。
その他にもシリウスステークス、中京記念の勝馬トーヨーレインボー(前走大阪杯4着)や
カブトヤマ記念、福島記念の重賞2勝馬テイエムオオアラシなど多士多彩な顔触れ…
しかしそんなメンバーを差し置いて、圧倒的な注目を集めたのがサイレンススズカでした。
競走馬が完成していく姿…
関係者でもない只の競馬ファンにはなかなか目に見えない部分です。
しかしサイレンススズカは、一介の競馬ファンに『競走馬が完成していく過程』を
見事に体現して魅せてくれました。
身体能力の高さを示した新馬戦…
反面、幼さを露呈した弥生賞…
能力だけで押し切った条件戦とプリンシパルステークス…
行く気を抑えられたことでレースにならなかった日本ダービー…
ひと夏を越えても未だ気性に危うさを秘めていた中
爆発的な逃げを見せ始めた神戸新聞杯と天皇賞・秋…
急遽参戦で精神不安定に陥ったマイルチャンピオンシップの脆さ…
初の海外遠征で体調不良の中、超速の逃げを魅せた香港カップ…
立て直され、思い通りの競馬を初めて見せたバレンタインステークス…
勝負強さを発揮した中山記念で初重賞制覇…
落ち着き払った態度を見せるようになり
『逃げて、差す』が形になって現れた小倉大賞典のレコード勝ち…
この間、デビューの頃は420㎏そこそこで競馬をしていた馬体も、小柄ながら逞しさを増していき
金鯱賞では過去最高の442㎏を記録していました。
また、調教では何処へ飛んでいくか解らない為に、常に馬なり手綱を抑えていたサイレンススズカ…
そんな危うさも消え去り、調教で初めて一杯に追う事が出来たのが金鯱賞の追い切りでした。
落ち着き払っていながらも、小倉大賞典の時には出来なかった返し馬…
初めて返し馬を行ったのも、この金鯱賞でした。
最高の状態…
自信を持って送り出した陣営は、レース前から結果を予期していたかのように落ち着き払っていました。
スタートから予想通りハナにたったサイレンススズカを、鞍上武豊騎手は馬任せで楽に走らせます。
好きなように走れる状況でありながら、精密機械のように正確にラップを刻むサイレンススズカ…
スタート後の1Fが12.8、以降11.2-11.2-11.5-11.4-11.4と正確に刻んでいきます。
前半1000mが58.1と前走小倉大賞典時よりは遅いものの
それでもハイペースな逃げは後続を大きく引き離すものとなっていました。
1200~1400mを12.0、1400~1600mを12.4で通過するサイレンススズカ…
3コーナー手前で鞍上の武豊騎手はサイレンススズカが自然に息を入れたと述懐しています。
そしてこの瞬間に、この後の光景を確信出来たとも振り返っています。
4コーナーで2番手との差はおよそ7馬身…
残り400mのハロン棒を左手に見たサイレンススズカは貯めていた力を放出します。
11.7-12.2で上がったサイレンススズカと後続との差は
ゴールでは約11馬身の大差へと広がっていました。
たんぱラジオから流れる実況を聞きながらレース風景を思い描いていた脳裏に
何ともいえない光景が浮かんで来た事を、今でも思い出します。
「さあ拍手に迎えられてサイレンススズカ、先頭だ!」
このフレーズが耳に飛び込んできた時に脳裏に浮かんだ映像、それは心からの笑顔…
この走りが観れて良かったな!
凄いものが観れて最高だな!
サイレンススズカの走りに魅了された人々の満足気な顔、また顔…
眩いばかりのサイレンススズカの走りに目を細めながら、観客達の顔には自然と笑顔が広がっていく…
誰彼ともなく、何処からともなく、笑顔と共に広がる万雷の拍手…
鞍上の武豊騎手はその拍手を受けて、ゴール手前で客席に向ってアピールを魅せる…
サイレンススズカを観てくれ!
この馬がナンバーワンになる歴史の証人になってくれ!
1本指を沸き立つスタンドに向って突き立てる武豊騎手の顔もまた笑顔…
至福の瞬間…
きっと目を閉じながら、たんぱラジオに聴き入っていた自分も笑顔だったと思います。
サイレンススズカと云う『黄金の疾風』は心地よく、心の中を吹き抜ける…
あの瞬間も…
そして、これからも…

「さあ拍手に迎えられてサイレンススズカ、先頭だ!」
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5月30日は中京競馬場で金鯱賞が行われます。
昔は夏の中京開催最大のレースだった高松宮杯へのステップレースだったのですが
今は春のグランプリ・宝塚記念を目指す優駿たちのステップレースとして定着してきましたね。
何気なく金鯱賞のデータを眺めていて目が留まりました。
今年の金鯱賞…
それは1998年のレース以来11年振りに『5月30日に施行される』金鯱賞でした。
前回5月30日に開催された金鯱賞の勝馬は、日本競馬を変える可能性を秘めていた優駿…

『黄金の疾風』サイレンススズカです。
1998年5月30日中京競馬場、第34回金鯱賞…
あの歴史的な1戦を記憶されている競馬ファンは数多くいることでしょう。
当時、土日が仕事だった事もあり、趣味の競馬はたんぱラジオを手にイヤホーンで聴いておりました。
この日も客足を見ては足繁くショールームから離れた食堂兼会議室へと往来し
愛用のたんぱラジオに耳を傾けておりました。
たまたま客足も途絶えた15時過ぎ…
これ幸いと別室へ籠り、心置きなくこの日一番のお目当てのレースを迎える事が出来ました。
1998年5月30日、この日一番のお目当てだったレースは第34回金鯱賞でした…
この年、春の古馬長距離戦線は前年のクラシックでは遂に無冠で終わったメジロブライトが大躍進を遂げ
AJC杯、阪神大賞典、天皇賞・春と連勝し、主役に躍り出ていました。
また前年の天皇賞・秋を牝馬として17年ぶりに制したエアグルーブが健在で
大阪杯1着(鳴尾記念2着を挟む)から宝塚記念への中距離王道を邁進。
更に前年牝馬クラシック二冠を制したメジロドーベルなども虎視眈々と頂点を狙っておりました。
そんなビッグネームが出揃う宝塚記念に駒を進めるべく、この金鯱賞から始動する優駿たちがいました。
約7ヶ月ぶりに姿を見せたのは、前年4連勝で菊花賞を制したマチカネフクキタルと
3連勝でアルゼンチン共和国杯を制したタイキエルドラドでした。
3ヵ月半の間隔を空けてリフレッシュされた、目下5連勝中で京都金杯、京都記念と
重賞2勝を挙げた上がり馬ミッドナイトベットも名を連ねます。
その他にもシリウスステークス、中京記念の勝馬トーヨーレインボー(前走大阪杯4着)や
カブトヤマ記念、福島記念の重賞2勝馬テイエムオオアラシなど多士多彩な顔触れ…
しかしそんなメンバーを差し置いて、圧倒的な注目を集めたのがサイレンススズカでした。
競走馬が完成していく姿…
関係者でもない只の競馬ファンにはなかなか目に見えない部分です。
しかしサイレンススズカは、一介の競馬ファンに『競走馬が完成していく過程』を
見事に体現して魅せてくれました。
身体能力の高さを示した新馬戦…
反面、幼さを露呈した弥生賞…
能力だけで押し切った条件戦とプリンシパルステークス…
行く気を抑えられたことでレースにならなかった日本ダービー…
ひと夏を越えても未だ気性に危うさを秘めていた中
爆発的な逃げを見せ始めた神戸新聞杯と天皇賞・秋…
急遽参戦で精神不安定に陥ったマイルチャンピオンシップの脆さ…
初の海外遠征で体調不良の中、超速の逃げを魅せた香港カップ…
立て直され、思い通りの競馬を初めて見せたバレンタインステークス…
勝負強さを発揮した中山記念で初重賞制覇…
落ち着き払った態度を見せるようになり
『逃げて、差す』が形になって現れた小倉大賞典のレコード勝ち…
この間、デビューの頃は420㎏そこそこで競馬をしていた馬体も、小柄ながら逞しさを増していき
金鯱賞では過去最高の442㎏を記録していました。
また、調教では何処へ飛んでいくか解らない為に、常に馬なり手綱を抑えていたサイレンススズカ…
そんな危うさも消え去り、調教で初めて一杯に追う事が出来たのが金鯱賞の追い切りでした。
落ち着き払っていながらも、小倉大賞典の時には出来なかった返し馬…
初めて返し馬を行ったのも、この金鯱賞でした。
最高の状態…
自信を持って送り出した陣営は、レース前から結果を予期していたかのように落ち着き払っていました。
スタートから予想通りハナにたったサイレンススズカを、鞍上武豊騎手は馬任せで楽に走らせます。
好きなように走れる状況でありながら、精密機械のように正確にラップを刻むサイレンススズカ…
スタート後の1Fが12.8、以降11.2-11.2-11.5-11.4-11.4と正確に刻んでいきます。
前半1000mが58.1と前走小倉大賞典時よりは遅いものの
それでもハイペースな逃げは後続を大きく引き離すものとなっていました。
1200~1400mを12.0、1400~1600mを12.4で通過するサイレンススズカ…
3コーナー手前で鞍上の武豊騎手はサイレンススズカが自然に息を入れたと述懐しています。
そしてこの瞬間に、この後の光景を確信出来たとも振り返っています。
4コーナーで2番手との差はおよそ7馬身…
残り400mのハロン棒を左手に見たサイレンススズカは貯めていた力を放出します。
11.7-12.2で上がったサイレンススズカと後続との差は
ゴールでは約11馬身の大差へと広がっていました。
たんぱラジオから流れる実況を聞きながらレース風景を思い描いていた脳裏に
何ともいえない光景が浮かんで来た事を、今でも思い出します。
「さあ拍手に迎えられてサイレンススズカ、先頭だ!」
このフレーズが耳に飛び込んできた時に脳裏に浮かんだ映像、それは心からの笑顔…
この走りが観れて良かったな!
凄いものが観れて最高だな!
サイレンススズカの走りに魅了された人々の満足気な顔、また顔…
眩いばかりのサイレンススズカの走りに目を細めながら、観客達の顔には自然と笑顔が広がっていく…
誰彼ともなく、何処からともなく、笑顔と共に広がる万雷の拍手…
鞍上の武豊騎手はその拍手を受けて、ゴール手前で客席に向ってアピールを魅せる…
サイレンススズカを観てくれ!
この馬がナンバーワンになる歴史の証人になってくれ!
1本指を沸き立つスタンドに向って突き立てる武豊騎手の顔もまた笑顔…
至福の瞬間…
きっと目を閉じながら、たんぱラジオに聴き入っていた自分も笑顔だったと思います。
サイレンススズカと云う『黄金の疾風』は心地よく、心の中を吹き抜ける…
あの瞬間も…
そして、これからも…
