「老いてこそ人生」 石原慎太郎著 幻冬舎 2002年7月10日発行 読了
石原慎太郎さんは「太陽の季節」で第一回文学界新人賞を受賞
翌年芥川賞受賞し、数々の作品でミリオンセラーとなった
都知事として政治家経験がある有名人でもある
石原裕次郎を弟に持ち、湘南海岸に住み
海を愛し、上流階級の生活をしてきた人生観を
楽しんで読むことが出来た
どんな華やかな人生を送っても
老いと死は必ずやって来る
文章の中から抜粋
-だから老いるということに対しても、いかにうまく慣れるかという手立てしかありはしない
それこそが肉体の凋落、肉体の衰退を超えてさらに確たる将来の人生を築くための
秘訣といえるかも知れません
-すべての動物にとっての最大最高の医者が二人います
一人は熱、もう一人は断食です
発熱にはそれなりの訳があり、その熱には同時にその疾患を治す力もあるのです
「健康への責任」の項で、最後の文章で
-それは気のせいとよくいわれるが、まさにその気のせいでもたらされる複雑な
病に晒されている体をどう気遣いどう管理するかは結局自分一人の責任でしか
ない。健康という何よりも致命的な事柄について誰よりも関心を持つべきなのは
当人以外にありはすまい。その不安、不満、期待と恐れ、それらが織り成して
刻々に変化し老いていく肉体が在り、その上に人生が在るのですから
若い頃の読んだアンドレ・ジッドの「知の糧」に感銘を受けて
ジッドはここで独善、誤解、孤立、徒労、悲痛、人々が人生において恐れるもろもろのもの
を敢えて良しとして教えているに共感して、彼が説いた通りの生き方をしてきたと
言っている
-つまり私は自分の感性だけを信じてその赴くままに生きてきたつもりですし、
そのことについて後悔もしていない。 が、それは他人の目からすれば必ずしも
理解しやすい人生の軌跡とは言いにくいに違いない
毎日精一杯生きている身にとっては同じ高齢者の思いを知りたい
結局皆誰しもが老いと死に対する恐怖に対峙しなければならない運命
を持ってこの地球に生まれて来たのだ