参議院選挙は、投票日まで後数日になりました。
安倍政権が安定政権となるかどうかがかかった今回の選挙ですが、僕の印象では、ここまで国民の関心は薄いように思います。
衆議院に比べて存在感が希薄で、時折不要論まで出る参議院ですから、関心が薄いという側面はあると思います。
しかし、それ以上に、政治に対する無関心がより広まっていることが鮮明になってきているような気がします。
それは、民主党政権に失望した国民が、自民党に期待をかけ、その期待どおりになるのか裏切られるのか、判断しかねているせいではないかと思います。
しかし、だからこそ今回の選挙は大切な選挙だと思います。
なぜなら、与党が過半数を取って、衆参両院で安定多数を取ると、安倍政権はいよいよやりたいことが何でもできることとなって、もし今の政策が間違った方向に行っているとしても歯止めが利かなくなるからです。
それでは、少し政策別に見てみます。
今回の選挙の最大の争点は、アベノミクスの評価です。
つまり、このままアベノミクスによる経済政策が続けられるか、何らかの方向修正が余儀なくされるかです。
安倍政権が誕生して以来株価は上昇し、円安が進みました。
僕はこのことが景気回復の兆候とは思いませんが、それは別にしても、株価が上昇を続けていたのは最初のころだけで、最近は乱高下が激しくなっています。
野党は、これをアベノミクスの副作用だと主張していますが、僕はむしろアベノミクスによる経済成長の不安定さの表れだと思います。
つまり、量的緩和だけで経済を回復させることはできないと言うことです。
量的緩和により、市場にあふれる資本によって、一時的に経済は上向くかもしれませんが、それは根本的な解決にはなりません。
量的緩和は、あくまで成長戦略を実行するための準備に過ぎないはずです。
そして、アベノミクスによる成長戦略はまだ不十分です。
安倍首相は、秋以降に法人税減税をはじめとする成長戦略の追加措置を発表するとしていますが、はたして、今の不安定な経済状態で、秋まで政策が実行できる状態にあるかどうかも疑問です。
やはりスピード感に欠けると言わざるを得ません。
次に、原発再稼働の問題です。
この点については、安倍政権誕生当時から、再稼働の方向には向かっていたと思いますが、それが加速しているのは紛れもない事実です。
安倍首相は、サウジアラビアやUAEと言った中東の国々をはじめ、インドやブラジルと言った経済成長が目覚ましい新興国とまで原子力協定を結び、原子力推進の姿勢を鮮明にしています。
そして、国内でも再稼働に慎重な姿勢が影をひそめてしまいました。
今となっては、衆議院選挙では国民の間に慎重論の大きかった原発再稼働には曖昧な姿勢を取り、政権をとってしまえば、本音が出てきたと言えそうです。
そしてついには、原発再稼働を選挙公約に掲げるまでに至りました。
これで、自民党が選挙に勝てば、国民が原発再稼働を容認したことになります。
安倍首相は、今の自らの人気ならそれも可能だと考えているのでしょう。
つまり、支持の高い今を利用して、原発再稼働の流れを作ってしまおうと言うことです。
これをこのまま認めて良いものでしょうか?
そして、もうひとつの争点が、憲法改定です。
これも安倍首相は自らの人気が高いうちに通してしまおうとしているのは明白です。
本来慎重に議論すべき問題を、このような形で決めてしまって良いものでしょうか?
そして、今回の選挙で注目すべきは、インターネットによる選挙運動が解禁されたことです。
しかし、僕の印象では、選挙前に騒がれていたほど大きな変化とはなっていないと思います。
たしかに、多くの候補者が動画をYouTubeなどに投稿していると言うことですが、その動画は街頭演説を録画したものが中心だと言うことです。
たしかに、これでは、有効に使っているとは言えません。
有権者が積極的にホームページやブログにアクセスしないかぎり、候補者の主張も伝わっては来ません。
初めてなので仕方がないのかもしれませんが、候補者も有権者も、まだまだインターネットを有効には使えていないのが実情ではないでしょうか?
このように見てくると、やはり無関心ではいられない問題が山積みの選挙と言えます。
安倍政権に対する国民の評価を示す絶好の機会ですから、有権者一人一人が真剣に考えて、自らの意思を表したいものです。