フランソワ・ジェラール
1806年 油彩/カンヴァス
パレ・フェッシュ美術館、アジャクシオ
新国立美術館で開催中の「ルーブル美術館展」でも、豪華な衣装を身に着けた英雄的なナポレオンの彫像が出品されていました。
月桂冠、高く掲げた杓、地を引きずるローブ。すべてが豪奢さ、権力を演出しています。
「皇帝ナポレオン1世より贈呈された教皇ピウス7世のティアラ」
アンリ・オーギュスト(金銀細工職人)、
マリ=エティエンヌ・ニト、フランソワ=ルニョー・ニト
1804-1805年(後世に数回修正)
ゴールド、シルバー、金箔、エメラルド、ラインストーン、 真珠、合成石、カットガラス、シルクのヴェルヴェット、 ラメ入りのゴールド、金属糸、木、紙
教皇庁聖具室、ローマ
ナポレオンが贈呈した外交目的のあらゆるギフトのうち、もっとも重要なのが、この教皇ピウス7世のために注文されたティアラ。
1804年、パリのノートルダム聖堂で執り行われた戴冠式へ出席してくれた教皇に対して、謝意をあらわすためだそう。
ヴァチカンからレンタルされたこのティアラの修復、十字架の制作をショーメが委託されたということだそうです。
さて、続いてこの肖像画。
深紅のドレスでグラマラスなボディを包む。妖艶な美女です。
しかし、ショーメ展と何のつながりが?と不思議になりますよね。
女性の頭頂部にご注目。
ギャラリートークの様子
青い日記帳主催のブロガー Takさん(右)、
担当学芸員の岩瀬さん(中央)、
館長 高橋明也さん(右)
上流階級、高貴な夫人のシンボルでもあるティアラ。
権力の象徴であると同時に、流行のアクセサリーでもあります。
「ティアラの間」には、約20点のティアラ(ガラスケースの中)と300点のニッケル=シルバーのモデル(なんとむき出しです)が勢ぞろいしていて、一点一点見ていくと、その繊細さ、奇抜過ぎないけれども垢抜けたデザインに驚かされます。
特に素敵だなと思ったティアラをピックアップしてご紹介したいと思います。
二枚の翼のよう。
現代的なデザインですね。
以下、「王道」なデザインの二点。
ティアラ「鮮紅色の情熱」
ショーメ、2016年「ナチュール ドゥ ショーメ」コレクション
ホワイトゴールド、ピンクゴールド、レッドスピネル、ロードライトガーネット、 グリーントルマリン、ダイヤモンド
王権を意味する百合の花は、ヨーロッパの君主が好んで宝飾品に使いました。ショーメの作品には、自然を模したものも多く、そこからジャポニスムにも派生しています。
本作では、ユリの花は取り外してブローチとして着用可能だそうです。
とても豪華ですが、キンキラキンキラ目が痛い感じではなく、照明の影響でしょうか、重厚でおごそかな空間でした。
【インパクト大賞】
「タコのネックレス」ショーメ、1970年ゴールド、フロスト仕上のロック・クリスタル、ジャスパー、 ダイヤモンド、ルーべライト
両シチリア王国ブルボン家王女コレクション
本作は、サルバドール・ダリ、あるいはメレット・オッペンハイムといったシュルレアリストのスタイルに基づき、彫刻家ロベール・ルモワーヌによって制作されました。
タコが藻綱をわしづかみにし、足でルーべライトを捕えているさまを表現しているそうです。
展覧会公式サイトによれば、
離れがたい関係の強さを想起させるこのネックレスは、ヴァランタイン・アブディ卿からマチルド・ド・ラ・フェルテへの、 結婚祝いの贈り物として注文された。
………。
他に表現方法はなかったのでしょうか。。
私の感覚だと、正直言って
これを身につけて人前にでて立っているのは、罰ゲームに近いです。(←ひどい言い様)
貴婦人の社交生活はときに過酷ですね。
ネックレス、イヤリング、ブローチ、 ブレスレット、リング
鮮やかな赤(ルビー、ルーべライト)+黒(オニキス)が、ダイヤモンドの輝きに引き立てられ、幻想映像のなかで輝いていました。
会期 | 2018年6月28日(木)~9月17日(月・祝) |
開館時間 | 10:00~18:00(金曜、第2水曜、9月10日~13日は21:00まで) |
休館日 | 月曜日(但し、7月16日、9月10日、9月17日と、トークフリーデーの7月30日、8月27日は開館) |