上野・西洋美術館に行ってきました。
常設展で、今年度の新収蔵品または今回が初公開の作品を発見したので、
ご紹介しますね。
【2017年度 新収蔵品】
Berthe Morisot
印象派グループのなかの女性画家として名高いモリゾ。
彼女が、自分のドレスをモデルに着せて描かせた作品です。
モリゾよりも優しい顔立ちの童顔な女性です。
「黒いドレスの女性(観劇の前) Femme en noir (Avant le théâtre)」
同(部分)
西洋美術館がモリゾ作品を収蔵するのはこれが初めてのようです。
好きな画家なのでうれしいです!
モリゾは、マネの絵画のモデルとしても知られ、逸話が映画化もされています。
『すみれの花束をつけたベルト・モリゾ Berthe Morisot au bouquet de violettes』
1872年 オルセー美術館
出典:Wikipedia
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/f/fd/Edouard_Manet_040.jpg
この絵の完成2年後、モリゾは、マネの弟ウジェーヌと結婚しています。
映画 「画家モリゾ、マネの描いた美女~名画に隠された秘密」
(2012年 カロリーヌ・シャンプティエ監督)
19世紀当時フランスのしっかりした家柄の女性の悩み(結婚、仕事…)がよくわかって興味深いです。
マネ兄弟の性格の違いもわかりやすく描写されています。
一言でいうと……モリゾ、弟と結婚してよかったね。という感じです。笑。
兄(既婚者)=ご存知「印象派の父」。ふらふらしたチャラ男系
弟=堅実、まじめ、女性のキャリアをサポートしてくれる
【初公開】
(2016年購入)
ウィリアム・アドルフ・ブーグロー 1825年 - 1905年
William Adolphe Bouguereau
「音楽 (Music)」1855-56年頃
油彩、カンヴァス
同(部分)
真っ先に目につくのが中央のこの女性(女神?)。
この冠の形…自由の女神(NY)を思い出しました…
こちらは ソフトクリームたいまつは持っていませんね。
(自由の女神がかぶっている冠は、突起が7つ=
7つの大陸と7つの海に自由が広がるという意味)
ブーグローは、美術アカデミーの重鎮として、19世紀後半のフランスの美術界に君臨しました。
古典の伝統にのっとって、神話画や宗教画の大作によってサロンで成功。
【初公開品】
(2015年購入。これまでずっと展示されなかったようです)
Raphaël Collin
あまり(全然?)知名度がありませんが、黒田清輝の師でもあります。
久米桂一郎や岡田三郎助、和田英作もコランの元で学んでいます。
最近だと、2016年にトーハクで行われた黒田清輝展 公式サイトはこちら に出品されていました。
Raphaël Collin Floréal en 1886出典:オルセー美術館 作品紹介
美術アカデミーのサロンに入選してデビューし、レジオンドヌール勲章も受章。
アカデミーの伝統的な画風を備えつつ、印象派の影響を受けた優美な画風の作品を制作。
折衷的な作風は外光派(Pleinairisme)と呼ばれました。
…と書くと華々しい経歴のように思えますが、
お気の毒なことに、ちょうど活動時期が印象派の最盛期とかぶったため、折衷的なコランの画風は注目されず、当のフランスでもほぼ忘れられてしまったようです。何事もタイミングって重要ですね…
日本では、だいぶ前に静岡県立美術館でコランの回顧展(1999年-) 公式サイトはこちら がありました。
☆美術館情報
http://www.nmwa.go.jp/jp/index.html
〒110-0007
東京都台東区上野公園7番7号
< 開館時間 >
9:30~17:30
金曜日 常設展・企画展とも20:00まで
土曜日 常設展は20:00まで、企画展は展覧会により異なる