[有田焼の魅力展]のブロガーイベントに行ってきました。
 
展示会の会期はすでに始まっているのですが、2つのトークショーが聞けるのが魅力でした。
 
1つ目は、香蘭社15代目社長 深川祐次氏のご講演。
以下、講演内容に沿って、有田焼と香蘭社の成り立ちについてお伝えしますね。
 
本展には、明治維新 150 周年を記念して、明治に開業した名窯の香蘭社、深川製磁の作品が展示されています。
 
 
私個人の見解ですが、
【香蘭社】の作品は、絢爛豪華な柄の大作が多いのが特徴。
欧米の大豪邸に合いそう、いかにも輸出に向いています。
 
 
 
●有田焼の始まり
 
徳川秀吉の時代、2回の朝鮮出兵。
鍋島藩も兵を送りました。
現地で道案内や兵の世話係を務めていた住民に陶工・李参平(り さんぺい)氏がいました。
戦が終わった後、彼は来日します。
 
1616 年に、彼が有田泉山で白磁鉱を発見し、日本で最初に磁器を焼いたと伝えられます。
 
これが有田焼の始まりです。
 
当時は、鍋島藩の命で、各地への積み出しが伊万里港からなされていたので、伊万里焼きとも呼ばれます。 
(明治30年に鉄道有田駅が開通したことから有田焼と呼ばれるようになったそうです)
 
 
韓国、ソウルの南に位置する李氏の故郷は、有田とよく似た地形だそうです。
 
李氏は、来日後、20年近く、原料となる石を探して九州を転々としていたようです。
 
登り窯に適した緩やかな傾斜、赤松が群生していること。
渓谷があり、石を砕くスタンパーの動力となる水車もある。
有田を当時に理想的な土地と考えたのでしょう。
 
 
●香蘭社の始まり
 
深川又四郎(初代深川栄左衛門)が、1689(元禄2年) に有田で深川商店を始めたのが香蘭社の前身。当時は釉薬や陶芸道具の販売などをしていました。
 
 
その後、欧米の「カンパニー」に倣った組織が必要であることを痛感した八代深川栄左衛門らにより、明治2年(1875年)に合本組織 香蘭社が設立されました。
 
 
 
 
明治6年のウィーン万博に佐賀藩も出品。
 
当時、のちに早稲田大学を設立する大隈重信などが渡航し、近代的なヨーロッパの姿を見てきました。

 

目標にした通り、明治9年のウィーン万博で金賞を見事取得。

 

明治期の陶芸は、産業振興の一環でした。
 
しかし世界大戦中には市場は美術品市場は不況で、香蘭社も軍需工場となり、ロケット用のタンクや手榴弾なども製作したそうです。
 
なんと、やきものの手榴弾とは!
 
当時金属が足らなかったための急遽の代用品で、殺傷能力は低いそうですが、残骸が沖縄で見つかっているとか。

昔は郵便ポストもやきものだったそうです。
 

1650年代に入って、陶磁器の最輸出国であった中国が、明から清に移行。
内紛が続き、国が荒れたため、東インド会社は景徳鎮から買いつけることが難しくなりました。
そのため日本に陶磁器をオーダーすることが多くなったといわれています。
 
結果、日本からの輸出品が増え、有田焼は栄えましたが、100年ほど経つと衰退。
しかし明治に入って再び盛り上がりを見せるようになった、
…と、
激しい好不況の波を経て、有田焼は現代に至ります。
 
 
長崎の波佐見焼(はさみやき)が日常用だったのに対し、
有田焼はゴージャスな美術品。
と熱く語っておられたのが印象的でした。
 
現在の有田の土は、可塑性が少なく鉄分が多いため使いづらく、現代のアーティストたちは、天草の石を使用することが多いとか。
 

さて、香蘭社でデザインの仕事をしていた9代目の弟君が、独立して明治27年に設立したのが

「深川製磁」です。

 
 
 
【深川製磁】
 
「染錦紫陽花瑠璃金雲地文様花生」
 (そめにしきあじさいるりきんくもじもんようはないけ)
 
白磁の重要無形文化財(いわゆる人間国宝)である井上萬二氏(1929年、有田生まれ) と、
深川製磁の深川一太社長コラボレーション
明治期の技術の再現をした作品です。
 
井上萬二氏が大物の花生をろくろで挽き、素焼きをし、それに深川製磁の伝統工芸士2名が多彩な技法を施したものだといいます。
 
今年4月に有田の深川製磁の忠次館で初公開。
この度、明治維新150周年を記念して、首都圏では初お披露目だそうです。
 
 
白磁での表現を続ける井上萬二氏。
ロクロ成形の名手による造形美を感じる作品は他にも複数並んでいます。
 
 
 
さて、深川製磁の本来の商品はどんな感じかといいますと。
 
香蘭社とは対照的に、色合いがやさしく、小ぶりなものが多いのが特徴です。(個人的な見解です)
 
↓よーく見ると水色の兎が。奥ゆかしくて可愛い。
 
【ラブリー賞 鍋島花兎】 深川製磁
 
『近代化産業遺産群』として、 深川製磁社からは、『本店店舗(有田町内)』、『本店2階 参考館の所蔵物(有田町内)』、『チャイナ・オン・ザ・ パークの所蔵物(旧 西有田)』が選出されています。
 
 
 
 
 
 
 
香蘭社と深川製磁は、競合とはいえ、お互い切磋琢磨してきた戦友のような関係。

有田の町並みには、現在も歴史的価値の高い建物が数多く残っており、1991年に国の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されています。


香蘭社と深川製磁の本店があり、共に「重要伝統的建造物」に指定されています。

 

 

VOC=東インド会社のマーク入りの商品。

 

 
 
ちなみに本展では、ライバルとして比較されることの多い今右衛門と柿右衛門の作品も並んで飾られています。
 

十四代 今泉今右衛門
色鍋島の可能性を追及し、墨はじき技法を確立。
 

十五代 酒井田柿右衛門
初代柿右衛門による赤絵創始から370余年。
濁手素地に菊の花が咲く絵画のような名品。

 
私の独断と偏見では、この会場では今右衛門氏の作品の方が目立っていた印象です。
 
 
 
 
 
 
 
 

…と、二社のご紹介が長くなりましたが、18時半からは、フードスタイリスト 遠藤文香さんから有田焼を使ったテーブル・コーディネイトのトークがありました。

 

  • 遠藤文香(えんどうふみか)
    1979年生まれ、愛媛県出身。
    2008年エコールエミーズディブロマ取得後、フードスタイリストとして独立。
    書籍・雑誌・広告でのフードスタイリングを主に手がける。

 
 
 
 
 
竹盆の上に小皿を沢山使ったコーディネート。
中央の黒い魚は、シーラカンスだそうです。
和食器では黒は珍しいとのこと。
 
 
その他の展示作品
 
 
 
 
現代的な有田焼作品のコーナーもありました。
洋風化された現代日本人のお宅に合いそうですね。
 
 
麟(Lin)シリーズ
[金照堂]
磁器とは思えないメタリック感と、見る角度で色を変えるカラーリングが魅力。
とはまた珍しい。
(他の色もあります)
どんな食べ物を合わせようか…悩みますね。
 
 
 
 
【イベント情報】(明日23日以降)

<有田の器で楽しむ食卓>
【遠藤文香さん テーブルコーディネイト トークショー】
6/23(土) 午前11時ー

 
【深川製磁社長 深川一太氏トークショー】
「明治を作る~染錦紫陽花瑠璃金雲地文様への思い~」
 6 月 23 日(土)午後 12 時半ー

 
 【人間国宝 井上萬二氏トークショー】  6 月 24 日(日)午後 2 時ー 
 
 
 
有田の魅力展 2018
www.tobu-dept.jp/ikebukuro/event/detail/1539
東武百貨店 池袋店 8F催事場(2・3番地)
〒171-8512 東京都豊島区西池袋1-1-25
2018年6月21日(木)~26日(火)
※最終日は午後5時閉場