敷居が高い店。自分は場違いだ、分相応じゃない、と入りづらい店がある。
そんな店の一つが「J.Mウエストン」だった。フランスの靴ブランドで、私が欲しい靴の価格は11万円くらいする。
店内の様子は、美術館のようなシンプルなしつらえで、大概客が一人もおらず静か。そもそも気軽に買えない高級靴なため、冷やかしでも気軽に入れる店ではない。入るにも身構えてしまうオーラのある店。
しかし、これらはすべて自分で作り出した思い込みであって、実際、入ってしまえばどうということはない。もちろん、清潔感ある服装の方が望ましいし、それがマナーだろう。(どんな店でも)
そんなわけで、先日、J.Mウエストン青山店に入ってみた。私はいったん飛び込むと肝が据わる方で、「よくわからないので教えてください」という感じで臨んだ。
良い店ほど、店に音楽が流れていない。
無音である。高級店ほどBGMがない。きっと商品の品定めに余計なものは要らないという自信があるのかもしれない。
これは飲食店でも同様だ。
まず、ウエストン専用の足サイズ測定器で計ってもらった。すわり心地の良いソファーチェアーに座ると、飲み物は何がよいか聞かれて、水をお願いした。客は自分ひとりなので接客がゆったりしている。エビアンのボトルとグラスが出てきた。
ウエストンが徹底するのは、サイジングを入念に調べること。ワイズの展開も多く、長さと幅を確認していけば、ジャストフィットするサイズが見つかることになる。
欲しいゴルフ641
を3足試着して自分のサイズを確認した。
ウエストンのお店の対応は、某アメリカ靴の旗艦店や他のフランス靴の旗艦店のそれと比較にならないほどの丁寧さと優雅さがあった。
まずますウエストンの靴がほしくなった。
今は買わなくても、その商品に憧れ、いつかは欲しい。
その思いがあるならば、身の丈を超える入りづらいラグジュアリブランドの店に思い切って入ってみることをお勧めしたい。
きっと背筋が伸びて、良い緊張感が味わえ、良いものとは店の接客対応も含めた実に豊かなものだと思い知ることができる。