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『詩人の恋』 (加藤健一事務所) 久世龍之介演出/加藤健一 畠中 洋主演 於:本多劇場


加藤健一さんが好きに観に行ったこの作品。

不安は彼が歌を歌うということ。どうしてもイメージできなかった。

でも思いのほかうまかった。しかもドイツ語の歌詞だと思うのだけど、違和感なかった。さすがです。

何でも3年間練習しているそうで、本当にこの人は舞台人だと思った。


物語は音楽の都「ウィーン」、1980年代で既に戦争の爪あとは浄化されつつある頃。

落ちぶれたアル中気味の声楽家マシュカン教授(加藤健一)は、かつて神童といわれたピアニストのスティーブン(畠中 洋)を教えることになる。スティーブンもまたスランプに陥っていた。

反発するスティーブンにマシュカン教授は、シューマンの連作歌曲「詩人の恋」を課題にした。

この2人が徐々に理解しあっていく過程では、やはりヒトラー時代のユダヤの問題がテーマになっていた。

2人とも実はユダヤ人だったということだ。


格調高く、でもユーモアもあり、本当に良い芝居だと思うが、加藤健一事務所以外は演じていないのだという。ユダヤの問題であることが日本人にはわかりにくいのでは?という見解もあるが、おそらく日本人がこのテーマを演じることに違和感があるからではないかと思う。どうも入り込めなかったのはこの1点だ。しかも歌唱も含め、部分的にドイツ語が使われたので余計だ。この点だけは私もちょっと否めなかったのだけど、全体としては満足な内容。


しかし本多劇場って、今となっては古い。スタバが小さく出店していた(常時じゃないかも)のは、びっくりしたけど、それ以外は必ずしも快適とは言えなくなっている。トイレの数も少なく、座席も狭い。往年の芝居ファンからは、それが良いところといわれるかもしれないけど。

ゲルハーヘル(クリスティアン), フーバー(ゲロルド), シューマン
詩人の恋~シューマン歌曲集

オムニバス(クラシック), ドレスデン国立歌劇場管弦楽団, サヴァリッシュ(ヴォルフガング), シューマン, フィルハーモニア管弦楽団, ムーティ(リッカルド), クリュイタンス(アンドレ), リヒテル(スヴャトスラフ), モンテ・カルロ国立歌劇場管弦楽団, マタチッチ(ロブロ・フォン)

コンポーザーズ・エヴァー!シューマン