先に、いつもの待ち合わせ場所にたどりついて
お気に入りのカフェラテを注文する。
田辺さんの話によると、
千賀子さんは もうすでに弁護士を雇ったらしい。
まだ、それを知らない耕作は、のんきに構えているようである。
やり直そうと、メールや電話で訴えてくるらしいが
その割には、会社での態度がいまいち煮え切らないなと 私は感じる。
「離婚」という方向に進む手助けをしてしまったようで
それが、この先最上の結果だったとしても
幼い娘さん二人のことを考えると、
やはり自分たちのしたことが 正しいかどうか・・・
これで良かったのかどうか
心の底で悩む自分がいるのも、確かなのである。
「お~つかれサマンサ」
やまちゃん先輩の登場である。
いつものことながら、姿と言動が一致しない先輩だ。
この上なく、綺麗な容貌を持っているのに、 発言は完全に、おやじだ。
「ケーキも食べようよ。 腹が減っては戦ができぬ~」
ひゃひゃひゃ、と変な笑い声をあげながら、 メニューを渡してくる。
「先輩、ケーキ好きですね。 うらやましいです。そんなに食べて太らないの」
ここを使うと、糖分が必要で~と
自分の頭を指しながら、先輩は言う。
いかにも、上機嫌だ。
こういうときは、調査がすごく上手くいったことに違いない。
私は、さっそく切り出した。
「で、例の研修をしている企業に知り合いはいたんですか?」
先輩はピースサインを出した。
「今回はちょっと苦労したよ。直接の知り合いにはいなくてさ。
研究室の先輩の知り合いっていうちょっと間接的な人を 紹介してもらったよ。」
「さすがですね。それで結果は・・・?」
「黒もいいとこ。真っ黒だよ。
麗子ちゃんお手柄だね。 っていっても気分悪いわよね~
私たちが一生懸命稼いだ会社の金横領してるんだもん。」
おもむろに、バックから紙を出した。 メールのコピーのようだ。
「良かったよ。あの会社、研修の登録はキャンセルでも
キャンセル履歴として顧客ごとの管理してるみたい。
ペース的には二回に一回くらいの割合でキャンセルしてるね。」
「のんのん先輩もですか?」
「もちろん」
と言ってもう一枚紙を出した。
私はその紙を覗き込みながら、まさかと思ったことが
現実になってしまったことに軽い衝撃を受けた。
「もしかして・・・とは思ってましたけど ショックです。」
「ほ~、相変わらず性善説派だね~
平気で人に嘘をつくような卑劣な奴は
このくらいやってるだろうって
私は、反対にさもありなんって納得しちゃったよ。」
「そう言われればそうですけど。」
「さてと、この後の仕事は田辺さんだね~
うちらが、これ経理に持っていって調べてくださいっていうのも変だし。」
「そうですね・・・ でも、田辺さんがいてくれてよかったです。
私たちじゃ、この事実を掴んだところで
どう持っていくかでまた二の足を踏んでましたもの。」
「要するに悪いことは、そうずっと続けられないってことだよね。
私たち三人が出会ったのも
神様の思し召しってやつじゃないの?」
そう言うと先輩はにやっと笑った。