日本システム論                         №00092


【今朝の新聞記事から】

 朝日新聞論説委員だった笠信太郎の1962年の著書「”花見酒”の経済」について。

 この書は、当時の高度成長期の日本を、地価高騰や銀行融資の膨張で実体以上に経済が大きく見えているに過ぎないと、落語の”花見酒”の経済に例えて問題意識を提示した。

 ただ笠の日本経済のバブル批判に落語の”花見酒”を持ち出すことは適当であったのか。

 落語の”花見酒”に出てくる熊と辰は計画通り儲けられなかったものの、道すがら景色や会話を楽しみ、酒を満喫した。10文銭は互いの間を行き来しただけだが、回転スピードは速く、互いの満足度も高めた。

 これは理想的なサービス消費と言えないか。私(この記事の編集委員)にはこの「落語の花見酒」が成熟社会の中でデフレを解消していくのに、むしろ範をあおぐ話のように思えてならない。

 いまの日本経済に足りないのは、この2人のように「人生を楽しもう」と人々がお金をつかって、内需が拡大していくことなのである。

 2月3日 朝日新聞朝刊6面より編集


【私の視点】

 現在の朝日新聞の編集委員が大先輩に一言もの申すといった内容の記事です。

 この記事中の”花見酒”についてはネットで検索すると粗筋が出てきます。 
 
 この落語で心配になるのは2人に残った借金をどうやって2人は返済するのかという事です。 

 他に収入があったり貯蓄があったりすれば良いのですが、返済に行き詰って破産ということにでもなると迷惑を受ける方も多いのではないでしょうか。

 貸金業者側から見れば、貸し倒れが増え、貸し先が少なくなれば、かえって世の中のお金の回りは悪くなってしまいます。

 熊さんと辰さんが生活保護にでもなれば税金がこの2人に使われてしまいます。

 今回の記事の趣旨は国内消費を増やしてデフレを脱却したいという事でしょうが、「借金して仕入れた酒を自分たちで飲んでしまった」という落語を「理想的なサービス消費」や「むしろ範をあおぐ話」というのには違和感を感じました。

 GDPやお金の回転率を上げるには良い話しかもしれませんし、もちろんお金が貯まっている富裕層や法人には十分にお金をつかって国内消費を拡大して欲しいのですが。

 収入と消費のバランスも大事です。

 個人でも国家財政でも。

 それでは今日は以上です。