Memories of Life

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ソロギターや読書、LEGOなど趣味のことについて気ままに綴っていきます。

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 ふたご座流星群、今夜極大へ――
 東京で生活を始めて間もない頃、都会の空で流星群を見ることができるのかを試したくなって、柄にもなく家を飛び出したことがある。その年は14日のうちに月が沈むため、観測するには最良の条件だった。
 僕は冬服をしまってあるダンボールから手袋とコートを取り出し、身支度を整え部屋を出た。試しに空を見上げてみるとかろうじて星が確認できた。どうやら天気予報通り今夜は晴れのようだ。とはいえここは建物が密集する商店街の只中、街の明るさと入り組むような狭い道のおかげで夜空は一層狭く見える。
 街の明るさから逃げるように、いつもの散歩道から外れて歩く。信号を二つも過ぎると人通りも随分少なくなり、辺りは暗さを増してきた。すると突然、右手に開けた空間が見えた。近所の公園だった。空を見上げるとうっすらと星空が広がっている。
 道は暗くまるで人の気配もしない。けれど、ここなら流星群を捉えることができるかもしれない、そう思い歩を進めた。奥の方にはジョギングコースのような道が続いていた。
 中ほどまで来たところでしばらく空を見上げていた。ほのかに赤く輝いているのは火星だろうか。背後にはオリオンが佇んでいる。そうして首が悲鳴を上げるくらい空を見渡していると一筋の光をちょうど視界の真ん中に捉えた。
 まさかこんなに早く見れるなんて!
 僕はしばらく同じ場所でまた流れ星が現れるのを待っていた。そのおかげで奥の道から黒い影が近づいてきていることに気がつかなかった。
 ふと目線だけを影の方に向けた。そこには見知らぬ男性が立っていた。彼もまた、空を見上げていた。何気なしに顔を男性の方に向けると向こうから声をかけてきた。
「流れ星ですか?」
 どうやらこの人も僕と同じらしい。
「ええ」
「もう既にいくらか見えましたね」
「ええ、僕も今し方見つけました」
 視界をもと来た道に向けると、程遠くないところでは相変わらず車がせわしなく走っていた。
「この辺ではここくらいしか良く見えるところがありませんね」
「そうですねぇ」
 そういって彼は自分の来た方の道を指差した。
「ここのさらに奥までいくと暗くてもっと良く見えると思いますよ」
 僕は彼に礼を言ってさっそく行ってみることにした。
 そこは程よく暗く静かなところだった。夜空を背にして映る、葉を落とした木々の梢が冬の寒さを際立たせている。僕は歩きながら空を見上げた。 目の端に光の筋が映る。
 公園内を彷徨っていると、程なくして大きな枯れ木の下に長いベンチを見つけた。使いもしないのに持ってきていた鞄を枕代わりにしてそこに仰向けになった。
 静かだ。
 聞こえるのは梢の擦れる音と、控えめに石畳を転がる枯葉の足音ぐらいだった。時折、見上げた枯れ木の枝の隙間を光の筋が通る。
 なんて贅沢な時間だろう。
 故郷の北海道でだってこんな贅沢な真似はしたことがない。僕はしばらくそのまま夜空を眺めていた。
 体がすっかり冷え込んだ頃、流星の数もいよいよまばらになってきたため、名残惜しみながらも帰途につくことにした。
 できることなら一晩中居たかったけれど。
 未練がましくもう一度空を見上げ、その場をあとにした。
 通りを抜けると未だに辺りは明るかった。もう星空は見えなかった。