銃声がグラウンドに轟く。
柊は目を開ける。
そこには、さっきと同じ、グラウンドの景色が広がっていた。
横を見ると、紗江が居る。
「…………あれ?」
柊は辺りを見回した。
女子生徒も立っていた。
先程、柊と紗江は、女子生徒、もとい、政府の手先の女にショットガンを突き付けられていた筈である。
それに、銃声も聞こえた。
ショットガンである。
拡散する上に、威力も桁外れだ。
至近距離で喰らったら、二人とも生きてはいられないだろう。
「……成る程、死んだのかな。
僕と谷村さんは……」
柊はここが死後の世界だと思った。
紗江を見た所、まだ目を開けてない。
すると、女の右手からショットガンが落ちた。
がしゃん。
という音を立てて、グラウンドに転がる。
さらに、女の腕から血が滴り始めた。
「くっ……!」
女は校門側を見た。
それにつられて、柊も校門側を見る。
そこには、見覚えのあるスーツ姿。
「待たせたわね」
そして、聞き覚えのある声がした。
いつも、朝ずかずかと部屋に入って来ては、荒々しく起こしていく乱暴姉貴。
「よく生き残ったわね。 柊」
柊の姉、恵だ。
「は……!? 姉ちゃん!?」
「なーによ柊。 あんたもうすぐ死ぬ所だったわよ?
それ助けたんだから、感謝しなさい」
柊はよくわからないまま、姉、恵の手を見た。
確かに、銃が握られている。
「…………え?」
柊は素っ頓狂な声を上げた。
「あ、言ってなかったけど、柊。
あたし、拳銃の腕ならピカイチなんだわ」
「……いや、そこ聞いてるんじゃないよ」
「何それ。 聞きなさいよ」
恵はグラウンドに入ってくる。
「なんで姉ちゃんがここに……?」
「覚えてない?
絶対、政府の尻尾掴むって約束」
恵は拳銃をしまい、手を叩きながら応える。
「あらー。
えらい怪我してるわねあんた達」
「それで、尻尾は掴めたのか……?」
「掴んでないとここには来てないわよ」
真顔できっぱり言い放った。
「…………さいですか……」
その刹那、女が左手で落ちたショットガンを拾い上げた。
「死ねぇ!」
引き金を引こうとした時、また銃声。
また別方向からの射撃だ。
女はまたショットガンを落とす。
「馬鹿ねぇあんた。
あたしが一人でここに来ると思う?」
すると、グラウンドにぞろぞろと恵の仲間らしき警察の人が大勢入ってきた。
「おい! あの怪物なんとかしろ!」
「わかってるよ! 武器は!?」
「そこの女も拘束しろ!」
などと叫んでいる。
「じゃあ……生きてるのか僕は……?」
「……は?」
今度は恵が素っ頓狂な声を上げる。
「まーあんたは大丈夫だろうけど、彼女さんは危ないかもね」
恵は紗江に視線をやる。
そして、しゃがんで紗江の脈を確認する。
「んー。 まだ大丈夫ね。 生きてる
」
「……!!
あ、谷村さんの怪我、何とかしてくれ!」
思い出した様に、柊は恵に向かって叫ぶ。
「成る程ねー。 柊も男らしくなったじゃない」
「早くしろよ、馬鹿姉貴!」
「あんた後でプロレス技決定ね」
「兎に角、早く!」
柊は言う。
恵は少し驚いた。
そして、クスッと笑って言った。
「吉田、連れて行ってあげなさい」
吉田とは、恵の後輩、つまりは部下である。
「了解っす、先輩」
吉田は紗江を抱えて、救急車の方へ行った。
「ほら、あんたも行きなさい」
恵は柊の肩を叩く。
すると、柊はボソッと呟いた。
「……ありがとな」
「……?」
「ありがとな、姉ちゃん」
またまた、恵は驚いた。
そして、高らかに笑った。
「なんなのあんた!
今日はやけに素直ね!」
笑い過ぎて、出てきた涙を拭いながら、恵は言う。
「うるせぇ!」
柊は赤面する。
恵はふぅ、と息を整えてから言った。
「そりゃ、可愛い弟の為だもの」
~続く~
はい。
第16話です。
どうでしょう?
いや、書いてて、自分でも恵かっけぇってなってました(笑)
こういう、きょうだい、いいですよね。
きょうだいって、兄妹とも書くし、兄弟とも書く。
柊と恵の場合、姉弟だからあえてひらがなにしました。
まーそこは気にせずに(笑)
それでは、もうそろそろ終わる
「僕らのサバイバル」
ですが、頑張りますので応援よろしくお願いします。
感想待ってます。
おまーるえびふらい