「え!?三砂君と付き合ってる!?」
驚愕の顔と声で言うのは
伊藤 才加である。
「うん。そ~なんだぁ」
にやけながら
天谷 美鈴は言った。
時は昼休み。
場所は屋上である。
「ってか、大声出し過ぎだよ!」
「あ、ごめん・・・!」
幸い誰もいなかった。
「ってか、あれからどう発展したのよ」
そりゃそうだ。
全く話せず悩んでいた美鈴が休み明けには付き合っているのだ。
才加にとっては全く分からない。
「色々あってね」
「色々を教えなさい」
「長くなるよ?」
「いいから」
すると昼休み終了のチャイムが鳴った。
「「ああ!また!」」
ハモった。
何回目だろうか。
授業の遅刻も何回目だろうか。
以前と同じ、授業の始めは先生の怒号から始まった。
部活終了後、美鈴と才加は昼休み話せなかった事について話しながら帰った。
雅は帰宅部なので先に帰るのだ。
「へ~、もうデートまでやってるんだ」
「楽しかったよ~」
「あんたももうリア充か・・・」
「いいでしょ」
「でも、相手は人殺した事のある暗殺者だよ?」
才加もあの中年男性の事件については知っている。
「もう殺さないって約束したもん!」
「はてさて三砂君が守るかねぇ」
「破ったらお仕置きするから大丈夫」
「へぇ・・・」
才加は美鈴の言う「お仕置き」については知らない。
まさか平手打ちとは思わないであろう。
ここで公園の所に来た。
雅が美鈴を助けた場所だ。
「もう襲われない様にね」
「大丈夫!」
とだけ言い、手を振って別れた。
まさか自分がそんな場面に直面するとは思わなかったであろう。
才加が少し行き、角を曲がろうとした時こんな声が聞こえた。
「う~ん。どうやって蛇蜘蛛を抹殺するかねぇ」
「!?」
蛇蜘蛛とは三砂 雅の事だとは才加も知っている。
その蛇蜘蛛の抹殺と聞いた。
確かにそこで言っていた。
親友の彼氏の抹殺計画。
足が震えた。
「おや、お嬢さんどうしたんだい?」
気が付けば背の高い男性がそこに居た。
少し髭を生やした優しそうな男性だ。
「具合が悪いのかい?」
「あ、いえ、だ、大丈夫です」
「そうかい?そうは見えないけど」
見かけは抹殺など言いそうにない人だ。
かなり心配しているようだ。
「いえ、ホントに大丈夫です!」
と言い、才加は走って逃げた。
「ホントに大丈夫かねぇ」
才加は走った。
走った。
走った。
走った。
現実だとは思えなかった。
思いたく無かった。
同時刻。
三砂家。
雅は家に居た。
母に鰐鷹について聞いてみた。
最初は答えてくれなかった。
何かあるようだった。
それでも聞いた。
そしたら教えてくれた。
もう話してもいい頃であると。
聞いてみるもんだ。
と思った。
母が言うには、
元々、「蛇蜘蛛」と「鰐鷹」は
三砂一族で一緒だったらしい。
只、途中で
蛇の様に這って近づき、蜘蛛の様に糸を使い暗殺するスタイルの蛇蜘蛛。
鷹の様に颯爽と近づき、鰐の様に力と刃物で暗殺するスタイルの鰐鷹。
に別れた。
別れたまでは別に問題無かったようだが、時間が経つと対立が始まった。
お互いのスタイルを認めなくなったのだ。
そして争った。
結果、両方とも壊滅的な被害となった。
その結果、三砂流暗殺術の使い手は江戸から姿を消した。
と言う。
つまりは、
三砂一族の中で派閥が二つ出来て、それらがお互い争い、結果は姿を消す事になった。
という事である。
蛇蜘蛛はひっそりと子孫を繋いできたが、それは鰐鷹も同じだった。
それが今になってまた争おうとしている。
雅は美鈴を巻き込みたく無かった。
それはそうだ。
誰も愛する人にこんな事に関わって欲しくないだろう。
すると、雅のケータイが鳴った。
着信だ。
また美鈴か?
そう思い、ケータイを開いた。
声の主は違った。
才加だった。
「三砂君、あなた殺されるわよ」
「伊藤さん・・・?」
「何か隠してる!?」
何処から自分のケータイ番号を聞いたのか分からなかったが、
驚いたのは自分の抹殺について知っている事だった。
彼女は息を切らしていた。
「何か隠してるでしょ!?」
「何で知ってる?」
「たまたま聞いた。おじさんが話してた。」
「・・・」
雅には思い当たる男性が1人いた。
「ちょっと!美鈴は知ってるの!?」
「いや、話してない。」
「話しなさい!!」
「ダメだ。」
「何で!」
「もうあいつを巻き込みたく無い
僕はあいつを色んな事件に巻き込んできた。
今回は僕の家系の事だから・・・」
「美鈴悲しむよ?」
「知った方が悲しむよ」
「なんで!!」
「僕は今回ばかりは生きてられるとは限らないから」
「!!!」
雅の言葉に才加は驚いたであろう。
死ぬかもしれない。
という事だから。
「お願いだから美鈴には言わないでくれ」
「でも・・・!」
「頼む・・・」
才加は言葉に詰まった。
何かしたいが何も出来ない。
「死なないでね・・・」
としか言えなかった。
「ああ、約束する」
とだけ雅は応え、電話を切った。
~続く~
第7話です。
どうでしょう?
なんか話が重くなってきました。
正直、書いてる張本人が辛いです。
重いのはニガテなんです。
というか、この章でこんな重いのが出来るとは思いもしなかった。
さぁこれからどうすっかな。
皆さんの楽しみになれば嬉しい限りです。
感想待ってます。
おまーるえびふらい