「今晩どう?」
この言葉から、全ては始まった。
---数ヶ月前---
久々に逢った彼と食事をした時に、彼はこう言った。
「俺、ギターがやりてぇ。教えてくれ。」
僕は、二つ返事でokした。
翌週、楽器屋へ向かい、予算5万でギターを買おうと思っていた彼は
言葉巧み僕の話術にかかり、コアなファンにしかわからない
15万のアコギを買った。いや、買わせた。
きっと1ヶ月もしたら、挫折して辞めるだろう。
そしたら2万ぐらいで買い取ってあげよう。
そんな事を考えない事もない。
ちょうどその頃、僕の組んでいたバンドは無期限活動停止中。
ヴォーカルは結婚。
ベースは全国出張中。
ドラムは失踪…
毎回年明けに集まって、音楽をやろう!という話が挙がっては
立ち消えになっていた。
僕は新たなメンバーを探していた。
まさか、小中が一緒で同じマンションに住む
幼馴染と組む事になろうとは。
その日から、ほぼ毎晩
僕らはリバーサイドで練習に明け暮れた。
彼はメキメキと上達していった。
僕も負けじと練習した。
気が付けば、「今晩どう?」が
合言葉になっていった。
それがそのままバンド名になった。
もんたよしのり並にビックリだ。
練習をしていれば酔っ払いに絡まれる事もあった。
見知らぬ若者と意気投合して、一緒に練習する事もあった。
苦情が来ては、練習場所を変え、探し続けた。
様々な困難や壁を乗り越えて
ついにデビューライブが決まった。
次号…
デビューライブ ~in 武道館~
続く