本日の支出(6/9) | 家計簿ブログ

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40代半ば独身にして年収200万。毎日の支出の記録をつけています。

今日は、休み。

 

一日、読書。

 

読んでいたのは、帚木蓬生さんの「インターセックス」

 

表題の「インターセックス」とは、

いわゆる両性具有もしくは半陰陽と言われてきたもの。

外性器の形状、生殖器、性腺分化が曖昧で、

男女の一方に分類できない人のこと。

ひらたくいえば「中間の性」

 

性同一性障害とはちょっと意味合いが違う。

 

産婦人科を中心とした総合病院であるサンビーチ病院の院長・岸川は

当初、生後間もないうちに手術を施し、性をどちらかに固定した方が

良いと見解を示しているが、

 

主人公の「泌尿婦人科医」の秋野翔子はそれに反対する立場。

 

なぜなら手術は一度で済むものではなく、

生涯に何度も繰り返されることになり、

珍しい「病態」であることもあり、

研修医など多くの目にさらされることで

心理的な傷も深くなっていくため。

 

翔子の意見では、生まれたまま成長させるべきで、

その後どちらかの性になりたいという希望があるなら

本人に選択させるべき。

それまでに生じる周囲の視線やいじめ、偏見からくるいやがらせなどに対しては

親や医師が守ってやるべきということ。

 

「曖昧な局所は放置しても、精神的なケアは放置しません」

 

岸川はその意見に感銘を受け、方針を転換したようだが、

そこらへんはあまり詳しくは述べられない。

 

手術の術式などの解説も

さすが著者が医師だからだなと思わされた。

ちょっと教科書的な記述である気もしたけど。

精神科の医師だからかなとも思うのだけど

それは私がそれに拘り過ぎたのかもしれない。

 

それにしても、外性器を形成するというのは

想像もつかなかったのだけど、

人間、色々なことを考え出すものだなあとか・・・。

 

この作品ではそういう外面的な医療より、

当事者の内面的な方についての記述に頁が割かれていて

例えば翔子はインターセックスの患者の母親から

 

「お医者さんからが声を小さくして話すので(中略)

 受診するのもこそこそ、入院も退院もこそこそ、

 手術もこそこそです」

「お医者さんがこそこそした態度をとるので、ついわたしたちも、

 悪いことをしたような気になっていたのです」

などと聞かされる。

 

この「悪いようなことをしたような気になる」というのって

人間、生きていくうえで精神的に非常に重いことだなと私も思っている。

自分は正しいと思えないと、なんでこんなにつらいんだろう?

 

さらに、子宮頚癌で手遅れになってしまった娘を持つシングルマザーが

自分が悪かったのではないかと自分を責めるシーンもある。

病気とは関係ないのに、そう思いこんでしまうつらさというか・・・。

 

その後翔子はドイツの友人に紹介された

インターセックスの人たちの自助グループに感銘を受け、

自分の患者になった一人に日本でも会の設立を提案。

患者はHPを立ち上げ、自助会が開かれる。

 

「通常の会議は、何か明らかな課題に対して意見をたたかわせて結論に至るのだが、

 自助グループはそもそも課題を設定していない。(中略)

 ただ、自分の身の上について話をし、それが終わると、同じ境遇の他人の話を

 一生懸命聞くだけなのだ」

「他人の噂話や避難中傷は一切ない。」

「では、そうした独特の構成要素をもつ自助グループの会合で、

 いったい何が生み出されるのか。

 それは<希望>と<意味づけ>ではないだろうか」

 

さすが精神科医、と思った。

 

私も摂食障害の自助グループには助けられて20年以上になる。

中断もあるし、ここ1年くらいご無沙汰してしまっているけど

精神科にも通ってなかった大学生の時にお世話になって以来

精神的支柱の一本に確実になっている。

 

何かあったら、愚痴りに行けばいい、なんていう感じで、

東京なんかでは毎日なんか行けるところがあるらしいけど、

札幌でお世話になってるのは

月1回とか(最近はコロナの影響からZoomをやってて

月2回ペースになってるようだけど)

それでも全然ないよりははるかにマシで

主催者の人には頭が下がる思い。

(主催者の人も当事者なので、嫌になることも多々あるはずなのだ。

 仕事ではないので、お金にもならないし、むしろ持ち出し)

 

さて、この小説にはもう一本柱があって、殺人事件の謎解きなんだけど、

そちらについては割愛^^;

 

秋野翔子がインターセックスの人への入れ込み具合が極端な気はしたけど、

その辺の謎解きは物語の最後の方にある。

うすうすそうじゃないかなとは思って読んでいたけど^^;

 

岸川の有能さと金遣いの荒さはどうも胡散臭いところいっぱいあるし、

サンビーチ病院は理想的な病院っぽく描かれてるけど、それもなんかむずむずする(笑)

と思っていたら、どうもこの小説の前に「エンブリオ」という話があり、

これはその続編的存在だったらしい。

 

「エンブリオ」も帚木蓬生さんの作品という認識はあったのだけど、

まだ読んでなかった。

岸川の話みたいなので、読んでみたい。

 

読みたい本が増えてくのは、ありがたいような大変なような^^;

今生きてるのはこの未練があるためだよなあ(笑)