自作数学問題bot @mathquestionakt (問題35) | 数学解説ブログ(つくば市の「数学・算数・物理に強い」プロ家庭教師 長通幸大・発信)

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中学高校の定期試験問題・大学入試問題・Twitterの数学特化系アカウントで出題された問題・閲覧した方からのご質問まで、幅広く取り扱う方針ですので、
日々の学習や数学的発想・思考力の向上にお役立ていただければ幸いな限りです。

初項と第2項が非負整数で、a(n+2)=a(n+1)+a(n)を満たす数列{a(n)}がある。a(n)の一の位の数をb(n)とする時、数列{b(n)}は周期を持ち、その周期はa(1)、a(2)に依る。取りうる最小周期が全て60の約数になることを、列挙以外の方法で示せ。

解答作成日:2015年4月17日
テーマ:フィボナッチ数列の性質の証明
履修学年:なし

当ブログでご紹介している自作数学問題bot @mathquestionaktに出題された問題の中で、筆者(長通)が特に気に入っている問題の一つです。

初項・第2項をいくつか定めた上で、第3項以降を直前2つの項の和とする数列を、フィボナッチ数列と言います。
このフィボナッチ数列、複雑ではありますが、一般項を公式で表せれば、1の位の数の周期性も導出できるのです!!

本題では、1の位の数の周期性を証明するということですね。

2つの整数の和の1の位は、その元の整数2つの1の位がいくつかによって決まることは、それほど難しく考えなくても大丈夫です。

初項と第2項の1の位の組み合わせは、10×10=100通りあります。(場合の数の「積の法則」ですね。)
その各々の場合について、実際の計算で周期性を調べるのは、かなり手間かかってしまいますし、そもそも本題では「列挙以外の方法で」と言われているので禁じ手になってしまいますね。

そこで!!
整数の1の位の数は、その整数の「偶奇」及び「5で割った余り」によって、判定できることを使ってしまいましょう!!




偶奇の規則性が一致する周期と、5で割った余りの規則性が一致する周期を探り出すということですね。

最後に、「60の『約数』」となる理由について。
周期が60になる場合もあれば、初項と第2項の1の位の組み合わせによってもっと小さくなる場合もあります。
しかし、少なくとも項が60進むことで、初項に戻ることから、最小周期が60の約数でないと矛盾が起きてしまいますね。
具体的には、最小周期が40(60の約数以外)だとしたら、項が60進んだ時点で、まだ1サイクルの後、サイクルの半分しか進みません。
これでは、初項に戻れませんね。
最小周期が15(60の約数)だとしたら、項が60進んだ時点で、4サイクルぴったり進みますね。
これが、最小周期が60に限らず、「60の約数」にもなり得る理由です。