中小企業政策を勉強していた時は暗記科目で、退屈な科目だと思っていましたが、
背景には結構深い問題がありそうです。
日経ビジネス 2020年12月14日版に日本商工会議所会頭のインタビューがありました。
「中小企業は年10万社の規模で廃業している。ある意味、競争原理が働いていないわけではないのです。
こんな状況にもかかわらず、最低賃金を引き上げて、付いてこられなかった中小の淘汰・再編を加速させる?
これが本当に正しい方策なのでしょうか。」
最低賃金は、デービッド・アトキンソン氏とかなりやりあっている論点です。
アトキンソン氏は中小企業が日本の生産性を落としているので、最低賃金のアップと
経営者と社員の成長を促すように主張しています。
同氏の著書はそれを強烈に主張しており、論拠もあるようなのですが、
その論拠となるデータが記されていないので、どれくらい正しいのかの
判断が付き兼ねるところです。
感覚的には正しいと思うのですが。
両者の意見が異なるのは、中小企業といっても色々な会社があるからだと思います。
本当に努力している会社もある一方で、努力していない会社もあるはずです。
デービッド・アトキンソン氏が、「もうすでに右肩上がりの世の中ではないので
護送船団方式的考えは止めろ」と主張していますが、それはその通り。
中小企業全体が問題なのではなく、中小企業の中のどこまでを救うか、ということです。
日経新聞 2020年12月25日の記事にこんなのがありました。
「信用調査会社の関係者が「奇跡の数字」と呼ぶ調査結果がある。帝国データバンクが12月11日に発表した国内旅行会社の倒産件数だ。
2020年1~11月の倒産件数は24件。月換算すると2.18件で、00年以降で4番目に少ない。同社の別の調査では、ホテルや旅館の倒産件数も11月までで111件と、リーマン・ショックで景気が冷え込んだ08年や、東日本大震災で旅行需要が低迷した11年よりも低い水準で推移している。
中略
こうした状況下でも倒産件数が少ない理由は、コロナ下での手厚い支援にある。実質無利子・無担保融資や、
雇用調整助成金、持続化給付金といった一連の支援策に加え、7月からはGo Toトラベル事業が始まった。」
国の補助がかなり手厚かったというのが分かります。
まず企業を救うための初動としては良いかもしれませんが、
この先、この手厚い補助を続けるかは大きな論点です。
商工会議所の主張は「廃業しているから競争原理が働いている」ということですが、
後継者がいないことによる廃業も含まれます。、また、もっとも廃業率が高い業種は
飲食・宿泊業ですが、その業界が競争が激しいというのは疑いの余地はないでしょう。
その他の業種はどうか、ということです。
その主張をそのまま信じるのは危険です。
この問題について、はっきりした正解はまだ分かりません。
覚えるだけだと思っていた中小企業政策ですが、
背景に何があるのか、なぜその政策があるのかというのを考えるのは大事だと思います。
もっとも、そんなことを考えても試験では1点にもならないのが残念ではありますが。