ごぶさたしております。


いろいろと目の前にあることに取り組みながら

「できることからやるしかないなあ」としみじみ実感している

今日この頃です。

ほんとうに多々至らないけど一歩一歩頑張ろうー。


というわけで。

先日半額でゲットした手帳に

いろいろと書き込んでみることにしました。

目標とかやるべきこととかを先に書いておけば

なんとかなるかなあと(笑)。

あらかじめ一週間の予定を振り分けて

活用しております☆☆

すこしでも精進できたらいいなあ。


さて、今回は本の感想なんですが…

実は引っ越してからというもの、

図書館に行けてないのです(笑・距離があって)。

過去の、主に家にある学術書やら歴史書やらの読み直しばかり

していたのですが、

つい先日一冊買って今日読了したので

ご紹介しておきます。


ゼロ年代の想像力 (ハヤカワ文庫 JA ウ 3-1)/宇野常寛
¥861
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サブカル批評の本は、

これまで大塚英志さんとか宮台真司さん

(サブカルというより政治よりの本ですが)とか

そのあたりの方々の著作を手にとってきました。


一番初めに読んだのは

大塚英志『「おたく」の精神史』(講談社現代新書)で、

これは大学生のときに読み、

面白いなあと思った記憶があります。

「おたく」の精神史 一九八〇年代論/大塚 英志
¥998
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着眼点もさることながら

それまで『24年組』をはじめとする

漫画史に残るような作品に触れてこなかったわたしにとっては

良いイントロダクションでした。

主張に関しては、当時は一冊目だったので

違和感なく大方共感して読んでいました。

今読むと違うのかな。

セカイ系、という言葉に触れたのもこの本が初だった気がします。


宮台さんに関しては……正直、文体ににじみ出る攻撃性を

持て余してしまっていたり(笑)。

主張は面白いし、

切れ味のある方だというのはわかるのですが

半分ぐらい(ざっくり割合)わたしの考え方とは違うかなあと

思って読んでいました。

ただ、三冊ぐらいしか読んでいない上、

途中で何度か転向されているらしいので

直近の本を読むとまた違う感想に至る気がします

(何より私自身もっと勉強せねば!)。


そしてこの本、宇野さん。

面白く読ませていただきました。

第一印象は、宮台さんの影響を受けていらっしゃるなあと。

あと、有名な東さんに対するがっつり批判が

さまざまな個所でなされていて目を引きます(笑)。

東さんはサブカル批評ではそれこそ有名な方ですが

わたしは一冊しか読んでいないので、

この批評が正当なのか、断言はできません。

(抜粋されている部分では共感できたのですが

オオモトをちゃんと読んでみないとなかなか

判断は難しいと思うので)


マチズモ批判に偏りがちなサブカル評論において

母性の圧力に着眼したのは新しかった気がします。

ただここでその詳細への言及はなかったので

そっちを掘り下げた別の本を読んでみないと

なんとも言えない部分があるのですが。
マチズモ批判と母性の圧力は対にして考えられるものでは

ないと思うので(相互関係はあれど)

どう位置付けて議論していらっしゃるのか

他の本を読むのが楽しみです。


一番しっくりきたのは「安全な痛み」という表現。

物語の持つ「安全な痛み」への指摘は

そうそうと強く共感しました。

痛みを描いているようで、読み手にとっての安全性の

確保された作品のなんと多いことか。

今までそういう作品を安易という意味で

「安っぽい」と形容していたのですが

なんだか値段のことみたいだし(笑)

「安全な痛み」のがしっくりきます。

これから使わせてもらおうと思いました(笑)。


違うなあ、と思ったのは作家の舞城王太郎に対する評価だったり、

あとは根っこのところにある主張への疑問があったり。


この本では「家族から疑似家族へ」ということが

謳われています。

これについてはわたしも諸手をあげて賛成で、

疑似家族的な繋がりで、

あるいはその先で、

人は幸せになれば良いと心から思うのです。

「決断主義」に対する批判も同感です。

だけど、それだけではまだ何か足りない気がします。

なんというか、この本で提示されているのは、

今わたしが自覚してたたずんでいる場所そのままで、

もしかしたらもう少し先に諦めずに

踏み込んでいかねばならないのではないか、という気がしました。

踏み込めないなら踏み込めないという結論でもいいと思うのです。

なんというかもう少し議論を展開させてほしかった。


たとえば歴史の主張、著者は保守にせよリベラルにせよ、

人は偽史を語るよりほかないと言っているのですが、

それ自体は真実だと思います。

でもそこから感じるある種の諦念に関しては

どうだろうと思いました。

どちらが正しいという単純な図式ではないことが

大前提であっても、やっぱり歴史家たちは

議論していかねばならないし、

そんなことは著者だって百も承知だと思うけれど

オルタナティブの差異について

ざっくりな印象を受けました。

あとはやっぱり議論を運ぶ上で引き合いに出す

作品のチョイスで恣意的になってしまう

部分が気になったり。

結論ありきな強引さもあるように思います

(その分、幅を広げて作品を拾おうという姿勢は

すごく良いと思うのですが)。


でも、この本は著者の初期の本だし

また別の本を読むと違った感想を持つのではないかなとも

思っています。

読んで良かったし

評論はやっぱり面白いなあと感じました。