『ある意味では、勝者が正義であり、
敗者が悪ともいえよう。
カノープス。通称『カノぷ~』です。
タクティクスオウガのお笑い担当(違う)。
おそらく、人気投票をしたら、
一位に君臨するんじゃないかという
根強い支持を集めるキャラクター。
暗い暗ーい雰囲気のなかで
ムードメーカーを丸投げされている感あり。
こう見えて48歳。ランスロットより10も歳上です。
種族は人間ではなくバルタンのため
外見年齢は若々しいあんちゃんですが、
精神年齢もまあ割と若々しいあんちゃんです(笑)。
でも、たまにのぞかせるシビアさに
積み重ねてきた年月の重みを感じさせます。
情に厚い熱血漢である反面、
理想を追うというよりは実際家の一面があり、
主人公デニムを悟す言葉は時に達観しています。
例えば、Cルート二章の冒頭部。
理想を貫き、正規軍と袂を分かち、
汚名を着せられ逃げ落ちるしかなかった
主人公デニムに対して、
カノープスは
戦争に正義も悪もないこと、
勝てば官軍であること
など世の道理を説きます。
カノープスは熱い血の持ち主なのに、
こういうとき、妙に冷静で突き放してかかる。
なんというか、妙にアンバランスな魅力を感じさせます。
彼の過去が伺い知れる感じです。
彼が、あえて突き放した物言いをするとき、
それはたぶん、自分の過去に対する悔恨を
投影しているときなのだと思います。
カノープスの過去。
それは前作『伝説のオウガバトル』
で描かれています。
カノープスには幼馴染にして親友の
ギルバルドという男がいました。
関係ないですが、
ギルバルドはかなりのハゲキャラだったはず。
なのに、今作では頭頂部に髪が!
『アデランスは誰でしょう』!?
しかも、なんかすごい紳士的なデザインで
いかにも領主という感じ。
渋いお貴族さまです。
前作やオリジナル版では
かなりのハゲと裸族でコンボだったはずが…。
カッコよくなって、良かったね!
すみません、脱線しました。
ええとカノープスの過去。
幼馴染にして親友のギルバルドは
ゼノビア王国シャローム地方の領主。
その彼が自領の民と一族を守るため、
ゼノビアを裏切り、自ら帝国に下ったことを
カノープスは
長きにわたり許せないでいました。
ギルバルドに対する怒りと失望のあまり、
カノープスは王国魔獣軍の生き残りである自分を忘れます。
帝国相手に戦うことを選ばず、やさぐれた日々。
酒びたりです(←推測)。
伝説のオウガバトルの勇者に出会ったときも
皮肉を言いまくり、愚痴を言いまくり、まあいいと自己完結し
さっさと背を向けます。
(だから、よく、昔は暗かったのに
性格変わったと、ファンに言われちゃうんでしょう)
大切なものを守るため、
どれほどに辛い選択であろうとも
意志を貫いたギルバルドと、
選択それ自体を受け入れられず
何もしないで世を嘆いていた自分。
その対比こそ、
彼にとって、理想と現実という言葉から
連想される最たるものなのでしょう。
だから、
彼はデニムがたとえ
勝利のために手を汚そうとも(Lルート)
傍らから離れず、無言で脇を固めます。
血の熱さとは別の、
現実に背を向けた痛み、
その後、四つに組んできた痛みが
彼のなかにはあるのです。
一方、Cルートのデニムに対しては
時に厳しいことを言いながら、
その実、常に期待を持ち続けていた
のではないかと思います。
理想を貫きながらも、
かつての自分のように歩みを止めることもなく
やさぐれもせず、
ひたすらに邁進する少年の姿。
どうしようもなくもどかしくもまぶしいものとして
彼の目には映ったはずです。
「理想を貫くなら、かつての俺のようにはなるなよ」
という無言の祈り。
そして、デニムはカノープスの心の奥底にある
その想いを裏切らず
指導者として立つようになります。
カノープスを飛び越えるほどの成長を見せる。
二人の友情はより強固なものになっていくのです。
Cデニムの存在を通して
カノープスはどこかで救われていたのではないかとさえ
思ってしまいます。
ちなみにカノープスの種族バルタンですが、
松野さんいわく
哺乳類寄りらしいです(笑)。
卵生ではないそうな。
あと、スーファミ版では顔グラ作成の際に、
「高嶋政宏風に」という注文があったそうですが
今作ではその指定も解除になりました(笑)。
高嶋と聞いて、一瞬、『HOTEL』と思ったんですが、
それは弟の方でしたね。
確かに今、オリジナル版を見ると、
高嶋兄とそっくりなことがわかります。
精悍で端正。
でも、それを念頭に置いて見ちゃうと
どーしても笑っちゃうんですよね(笑)。