宵山万華鏡/森見 登美彦

¥1,365
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森見さんという作家さんの
馬鹿馬鹿しいまでの饒舌さは、
天一のこってりラーメンにも
匹敵する濃さなので、
一冊読めば「しばらくはいいやー」って
気分になります。

しかし、その一方で、
なんだかんだで、中毒性があるらしく。
気付けば、つい手にとってしまっていたり。

とりあえず、文章はとびきりウマいと思います。


さて、こちらの作品は、

キレイだったり怖かったりする話の詰め合わせ。

宵山の夜に起こるさまざまな不思議が
色鮮やかに描かれています。

例外的に、

学生ノリでイイ大人がわいわいやっている

楽しい話も一本あって、

それはいかにもモリミーらしい感じでした。

その話が一番好きだったから、

やっぱりわたしはモリミーにある程度の

馬鹿馬鹿しさを求めているみたいです。


それに、京都の大学で

下宿生活を送っていた身としては

彼の書く京都の学生モノは

素直にセンチメンタルな感情を

呼び起こされるんですよね。

街並みとか空気感とか

いちいち懐かしい。


『鴨川ホルモー』の万城目学さんといい、

モリミーといい、

京都学生モノというジャンルが

確立しそうな勢いだなあ

と思ってます。


クチュクチュバーン (文春文庫)/吉村 萬壱
¥530
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久々に挫折。
挫折です。
話半ばで倒れました。読めない。これ読めない。
一言で言って、

「キモチワルイ……」

ものすごくグロテスクなので
読める人にしか読めない本です。
書評で評価されていた印象があって、
楽しみにして開いた一頁目からウッ…ってなりました。

人間が人間のかたちを保てなくなった近未来モノって
かんじです。

どういうことかというと……
例を挙げようと思ったんですが
やっぱりキモチワルイので
勘弁ということで(泣)。
心が強いときに手にとってみてください。

まほろ駅前番外地/三浦 しをん
¥1,575
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直木賞受賞作の

『まほろ駅前多田便利軒』の番外編詰め合わせ。


作品の端々にまで作者の愛がある感じです。

本編の段階でいかに登場人物を

端役に至るまで魅力的につくっていたか

よくわかります。


便利屋を営む多田と

そこに転がりこんでいる行天がメイン。

この作者さんの話は男性同士の関係において

やや湿度が高めなものが多いので

好き嫌いがあるとは思うのですが、

ことこの話に関しては

わたしは素直に好きだと思えました。

(他の作品、たとえば

『月魚』とかはちょっと苦手でした)

匙加減が絶妙で、

微笑ましくもハラハラしました。


痛みのかげをちらつかせながらも、、

基本的にはくすっと気軽に読める感じ

なのがいいです。


本編と併読した方が

絶対に面白いと思います。