カツラ美容室別室 (河出文庫)/山崎 ナオコーラ

¥494
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二月の最後に読んだ本。

前回紹介した、西加奈子さんの本に、
あまりにもナオコーラさんの名前が
繰り返し出てくるので
興味をもって初ナオコーラ。

この人の本はいつもタイトルが
良いんですよね。
カツラ美容室ですよ。
ううん読みたくなってしまう。

で、カツラを付けている美容師が
本当に冒頭に出てきて
そのキャッチーさに
くすくす笑いをこらえながら
頁をめくったんだけど。
……うーん。

楽しいし読みやすい。
けど、素材を料理しそこねている印象。
良い文章とかもあったんだけど、
主題と絡んでいる部分でもなかったし、
なんだろな、残らないなあ……。
かといって、作者の個性を感じなかったわけでもなく。
好きか嫌いかでいえば好き。

とりあえずほかの作品を読んでみないと、
この作家さんについてはコメントしにくいです。


イキルキス/舞城 王太郎

¥1,575
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三月最初に読んだ本。
三つの話が入っています。
表題作の『イキルキス』に一番共感し、
『鼻クソご飯』はあまりのえぐさにへこまされ、
『パッキャラ魔道』のラストの
パオパオパで涙ぐむ。

舞城王太郎は本当に、
ものすごい作家だと思う。

まず、なんといっても、
喋り言葉の呼吸を忘れない
長ったらしくて砕けまくっている文体。
読点の少なさも相変わらず。
例によって福井弁だし。

にも関わらずものすごく読みやすい。

デビュー作からそうだけど、
書き殴るかのような乱暴さを感じさせながら
その実、計算され尽くした文章のリズムに
惚れ惚れさせられる。

物語は相変わらずとんでもなく
暴走しているし、
暴力もテンコモリで
目を覆いたくなる。
あいたたたたと読んでいて、何度も逃げ出したくなる。
過激で酷くて、
なのにその向こうにどうしようもなく
頷かされる何かが透けて見えるから、
やっぱり舞城作品はやめられない。

なんかもう希有な作家だなあと思う。