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読み物オウガ【2】

http://ameblo.jp/k-lh/entry-10811160275.html



読み物オウガ【3】



あの冬の夜、ゴリアテを襲撃した

正体不明の騎士たちは、

北方の大国ローディス教国の手のものだと

のちにわかった。


かの騎士団の名を

ロスローリアン。

それとは別に『暗黒騎士団』という

通称がある。


まがまがしさと滑稽味が等分に同居する

呼び名には由来があった。


彼らは教皇の片腕として、

諜報活動や暗殺など、

表沙汰にはできない仕事ばかりを

こなしている。

騎士の名誉に与りながら、

闇の匂いから

決して切り離されることのない

血塗られた集団なのだ。


ならば、父の誘拐にも明るみにできない

秘密があったというのだろうか。

そのあたりはわからないが、

計画が成功し、

暗黒騎士団を追い詰めることができれば、

すべてが明らかになるかもしれない。


それに、もはやこれは、

復讐などという

単純な話ではなかった。


暗黒騎士団はいまやこの町のみならず、

ヴァレリア島全土の情勢を左右しかねない、

非常に大きな存在だったのである。



そうでなくても、この一年間、

言いようのない怒りを持て余し

燻ってきた。

仇敵の名を知ってからは

尚のことである。